19.CCR5とHIVの関係
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CCR5とはどういう物でどのような働きをしているのか?
CCR5(C-Cケモカイン・レセプター5:C-C chemokine receptor type 5)は、ヒトの白血球表面に存在し、ケモカインの受容体 として機能することで免疫系に関与しています。
T細胞が特定の組織および器官をターゲットに引き付けられるプロセスに関係しており、ヒトにおいて、CCR5はHIV感染の 機序に強く関与していることが知られています。
CCR5は、ヒトにおいて、HIV-1感染の機序に強く関与していて、CCR5の遺伝子にCCR5-Δ32として知られている 変異を持つヒトはHIVに感染しにくいということが明らかにされています。
HIVとCCR5との関係
HIVそのものがCD4+T細胞表面にあるCCR5受容体を利用してCD4+T細胞に侵入することから、 CCR5受容体に異常があると、HIVはCD4+T細胞に侵入できず、増殖することができません。
言い換えればHIVは、CCR5から白血球内に侵入します。
CCR5が知られるようになったきっかけ
HIVはCCR5を標的として細胞内へ侵入することから、米国のエイズ患者が白血病に罹患し、 その治療としてたまたまベルリンでCCR5変異を持つドナーから骨髄移植を受けて、白血病だけでなく エイズまでが根治したという報告が特に有名です。
HIVとエリートコントローラとCCR5の関係
CCR5受容体に異常があるヒトを『エリート・コントローラー』と呼びます。
『エリート・コントローラー』のヒトの体内ではHIVは増殖することが困難なのです。
CCR5受容体の遺伝子変異は、北ヨーロッパの白人の16%に存在し、これらの地域ではHIVに耐性を持つ人達の 数が多い訳です。
北ヨーロッパの白人にCCR5受容体の遺伝子変異の多い理由としては、天然痘ウイルスもCCR5受容体を利用 してCD4+T細胞に侵入しますが、ヨーロッパのように昔、天然痘が大流行した地域にこのような遺伝子変異を持 つ人々が多いと言われています。
当然日本人にはCCR5受容体の遺伝子変異のヒトは未だ見つかっていません。
抗HIV薬のひとつのCCR5阻害薬とは
抗HIV薬に"マラビロク"(商品名:シーエルセントリ)という薬がありますが、この薬はCCR5阻害薬なのです。
"マラビロク"は、CCR5に結合してHIV蛋白質gp120との結合を阻害し、マクロファージおよびT細胞内へのウイルスの侵入 を阻害するのです。
"マラビロク"によって、エリート・コントローラーではない普通の人も、HIVのCD4+T細胞への侵入を減らすことができる訳です。
CCR5についての今後の課題
最近の研究ではCCR5遺伝子に変異がある人は、HIVに感染しにくい半面、インフルエンザや西ナイル熱などの感染症にかかり やすくなることが明らかになっています。
2019年に行われた米国とデンマークの研究チームの研究結果によると、初めからCCR5遺伝子に変異をペアで持っている人は、 そうでない人に比べ、76歳まで生きる確率が約20%低いことやほかの感染症への耐性を低下させるというこれまでの報告 を再確認しています。
エリート・コントローラーのヒト中には他の方法によりHIVの増殖を抑えている人がいるという報告もあり、さらなる研究が期待されています。
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written by 血液の鉄人
19.CCR5とHIVの関係
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