27.HIV抗原抗体スクリーニング検査の偽陽性反応について
性感染症検査キット
HIV抗原抗体スクリーニング検査の偽陽性反応について
スクリーニングに使用するHIV抗原抗体検査は、感染者を見逃さないように検出感度を高くしてあることからどうしても偽陽性反応が出ることを防ぐことは出来ません。
そのためスクリーニング検査が陽性になると、真の陽性か、偽の陽性かの区別をする必要があります。
そのために確認検査があります。
HIV抗原抗体検査の偽陽性反応が発生する主な原因
1.検査の特異性の問題
検査の特異性は、正常な人々に対して陰性結果を示す能力を指しますが、特定の条件下では他の疾患や感染症がHIV抗原や抗体と類似の反応を引き起こす可能性があります、 これにより偽陽性反応が発生することになるわけです。
スクリーニング検査の感度を高くしてHIV感染を正しく感染者を見逃さないように作られていることから、当然のことながら 疑義陽性反応が出現しても仕方がないことなのです。
3.検査の技術的なの誤り
検査を実施する者の技量によって人為的なミスや検査キットの不適切な使用により、偽陽性反応が引き起こされることがあります。
HIV抗原抗体検査の偽陽性反応が発生する主な疾患
今の抗原抗体検査でも膠原病であったり、一部の感染症に感染していたり、その他様々な状況で偽陽性になりやすいとの報告があります。
※疾患ではなく若い女性・妊娠などでも偽陽性になる報告もされています※
偽陽性の報告例を上げますと、
1.マラリアによる偽陽性反応。
2.COVID-19の原因であるSARS-CoV-2による偽陽性反応。
※※現在広く使われているHIV抗原抗体検査はHIV-1/-2抗体とHIV-1の抗原の一部の両方を検査していることから、一般的には抗体と抗原の交差反応によると考えられていますが、 発現頻度はかなり低いようですから検査を受ける際に殊更気にする必要はまずありません※※
HIVの確認検査とは
ご存知のように確認検査には、ウェスタンブロット法を使用していましたが、現在ではウェスタンブロット法は使用されていません。
その理由としては、
1.高感度なスクリーニング法が採用されたことにより、ウエスタンブロット法の感度が追いつかなくなりスクリーニング検査 で陽性の感染初期検体がウエスタンブロット法で陰性または判定保留になってしまう。
2.HIV-1 RNA定量法であるアンプリコアHIV-1モニターv1.5が、 2002(平成14)年度からは確認検査にも保険適応できるようになった。
これまではアンプリコアHIV-1モニターv1.5はHIV-1 RNA定量法としてHIV感染者の経過観察のみの適応でした。
それでは現在はどの様な確認検査が行われているのか
少し前まではウェスタンブロット法を使用していましたが、最近ではHIV感染症の確認のためのウェスタンブロット法を用いずに、 イムノクロマト法を原理とするHIV-1/2抗体確認検査法に切り替わっています。
現在では、HIVスクリーニング陽性の場合、HIV-1/2抗体確認検査法とHIV-1核酸増幅検査法を組み合わせて確認していくことが推奨されています。
2018年6月にイムノクロマト法を原理とするHIV-1/2抗体確認検査法が日本国内で承認され、2020年に日本エイズ学会・日本臨床検査医学会から「診療におけるHIV-1/2感染症の診断ガイドライン2020版」 が発行されています。
【参考資料】
『診療におけるHIV-1/2感染症の診断ガイドライン2020版(日本エイズ学会・日本臨床検査医学会 標準推奨法), 2020.』
イムノクロマト法によるHIV-1/2抗体確認検査法とは
ガイドラインにあるフローに沿って、HIVスクリーニング検査が陽性だった場合、HIV-1/2抗体確認検査〔GeeniusTM HIV=1/2 Confirmatory Assay(Bio-Rad Co.,Ltd)など〕とHIV-1核酸増幅検査を行ない、 その後に結果を判定していくことになります。
※※いくつかあるHIVスクリーニング検査の中にもイムノクロマト法があるので混同しないように注意する必要があります※※
イムノクロマト法によるHIV-1/2抗体確認検査
Geenius HIV 1/2 キット(Geenius? HIV 1/2 Confirmatory Assay)
【参考資料】
『Geenius HIV 1/2 キット(Geenius? HIV 1/2 Confirmatory Assay) 』
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記事執筆日
2024年02月04日。
written by 血液の鉄人
27.HIV抗原抗体スクリーニング検査の偽陽性反応について
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