35.日本におけるHIV-2感染症の真実
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はじめに
よくHIV-2に関して質問を受けますので今回は、日本国内におけるHIV-2 に関して解説させていただきます。
1.もう一つのHIV「HIV-2」とは
世界的なパンデミックの主因であるHIV-1に対し、西アフリカを中心に分布するHIV-2が存在します。
日本国内では「HIV=HIV-1」という認識が一般的ですが、HIV-2も同様に免疫不全を引き起こすウイルスであり、適切な理解が必要です。
2.ウイルス学的特徴と病原性の違い
HIV-1とHIV-2は遺伝子配列が約50%しか一致しません。
起源: HIV-1はチンパンジー、HIV-2はスーティマンガベイ(サルの一種)からヒトへ伝播したと考えられています。
病原性: HIV-2はHIV-1に比べて血液中のウイルス量が低く抑えられる傾向にあり、免疫破壊のスピードが緩やかなため、 無症状期間が非常に長く、一生発症しないケースもあります。
3.感染経路と感染力の差
感染経路はHIV-1と同じく、性的接触、血液感染、母子感染の3ルートですが、 体内のウイルス量が少ないため、HIV-1と比較してパートナーへの感染リスクや母子感染率は低いことが疫学的に示されています。
4.日本国内の最新の流行状況
日本でのHIV-2感染報告は極めて限定的です。
症例数: 2020年代に入っても、累計報告数は10数例程度に留まっています。
現状: HIV-1の新規報告数が年間約1,000件弱であるのに対し、HIV-2は数年に1例報告されるかどうかの「極めて稀な疾患」です。
5.国内感染(土着化)の可能性
2009年に海外渡航歴のない日本人女性の感染が報告された際は、国内での感染連鎖が懸念されましたが、その後爆発的な広がりは見られていません。
現在の国内事例の多くは、流行地域(西アフリカ等)にルーツを持つ人、あるいは現地での性的接触があった人に関連しています。
検査に行く時間がない、恥ずかしい、しかし感染不安があるときは!!
6.グローバル化に伴う「輸入感染」の課題
人の移動が活発な現代、西アフリカ諸国だけでなく、歴史的に繋がりの深い欧州(ポルトガルやフランス等)を経由して日本へ流入する可能性 があることからして診断時には、詳細なトラベルヒストリー(渡航歴)の確認が不可欠です。
7.診断の落とし穴:検査の重要性
現在の日本のスクリーニング検査(第4世代抗原抗体検査)は、HIV-1/2の両方の抗体を検出可能です。
※但し抗原に関してはHIV-1の抗原のp24検出可能ですが、HIV-2の抗原は検出できません※
課題: スクリーニングで陽性が出ても、その後の確認検査でHIV-1の結果が陰性や判定保留になることがあります。
対策: HIV-2を疑う場合、核酸増幅検査(HIV-2PCR)やHIV-1/2型別判定検査を行う必要があります。
8.治療戦略:薬の「効き目」が違う
HIV-2治療において最も注意すべきは、一部の抗HIV薬が無効である点です。
無効な薬: 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)や、一部の蛋白分解酵素阻害薬。
治療方針: HIV-1と同様に「多剤併用療法(ART)」を行いますが、HIV-2に有効な薬剤(インテグラーゼ阻害薬など)を選択する専門的な判断が求められます。
9.母子感染予防の最前線
HIV-2陽性の妊婦に対しても、抗ウイルス薬の内服、選択的帝王切開、人工栄養(断乳)を組み合わせることで、 子どもへの感染を限りなくゼロに近づけることが可能であることから早期発見が鍵となります。
10.正しく恐れ、適切に対応するために
日本においてHIV-2を過度に恐れる必要はありませんが、以下の場合は医療機関(特に拠点病院)での相談を推奨します。
・西アフリカなど流行地域での性的接触があった。
・HIV検査で「判定保留」などの曖昧な結果が出た。
・「自分には関係ない」と決めつけず、多様なウイルスの存在を知っておくことが、医療現場での診断遅延を防ぐ唯一の手立てです。
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【注意事項】
本記事の情報は一般的な知識であり、個別の診断や治療方針についてはHIV-2に対する専門知識を有する専門医との相談が必要です。
記事執筆日
2026年01月20日。
written by 血液の鉄人
35.日本におけるHIV-2感染症の真実
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