スクレイピー病についてーNo.1ー

1.スクレイピー病とは?

この病気に罹った羊は体が非常にかゆくなり、脇腹を樹木や壁や囲いなどにこすりつけるために全身の毛が抜けてしまいます。このように体をこすりつけることからスクレイピーと呼ばれるようになりました。
そして体のバランスが取れなくなり、歩行が出来なくなり、次に痙攣が起こり、やがて失明し立てなくなると共に死亡します。この病気は狂牛病と同様に脳がスカスカになります。


2.スクレイピー病の発生はいつ頃か

この病気がいつ発生しどこから広まったかは現在も不明です。
古い記録からは1730年頃にはイギリスのイングランド東部にすでに発生していたようです。


3.スクレイピー病の病原体は

この病原体は1982年にスタンリー・プルシナーにより発見され 「プリオン」と命名された。プリオンとはタンパク質(protein)と感染性(infection)を組み合わせた言葉です。
そして1997年スタンリー・プルシナーは「プリオンの発見に対して」ノーベル生理学医学賞を単独受賞した。


4.プリオンとはどのようなものか

プリオンとは細菌でもなくウイルスでもなくプリオンタンパク質そのものが感染性病原体である。すなわち生命の源となる遺伝子を持たない特殊な病原体です。この異常型プリオンは普通の細菌やウイルスを死滅させるいかなる処理方法でも感染能力を消失させることが出来ない(殺すことが出来ない)。
人や牛、羊などは元々正常型プリオンを持っていますが、異常型プリオンは持っていません。


5.プリオンはどのようにしてを起こすのか

口から体内に取り込まれた異常型プリオンは脳や神経に蓄積され、正常なプリオンを異常型プリオンにかえるためにこの病気が起こると考えられています。


6.羊の肉からスクレイピー病は感染するのか

数百年間羊の肉を食べ続けている現在、人へのスクレイピー病の感染は報告されていないことから、羊の肉からこの病気が感染する危険性はないものと現時点では考えられています。
従って羊の肉を使用するジンギツカンは安全と考えられています。


7.羊のスクレイピー病がなぜ牛感染したのか

この項は本HPの先の知識の窓「狂牛病」を参照して下さい。

血液の鉄人

新 医学と切手の極意