性行為感染症としてのHIVの発生時期と
HIVのウイルスタイプについて

@性行為感染症としてのHIVの発生時期
米国ではすでに1978年頃よりエイズは流行していたと考えられています。そして、 1982年のCDC(米国防疫センター)の内覧用記録にはエイズは“性的な接触で伝染するウイルス感染による”と断言されています。
また、1980年頃には東南アジアにHIVは侵入したとされています。

AHIVの起源は
 1960〜70年代にかけてアフリカでは飢餓にともなう人口の大移動があった。人々は田舎から都会へ流失した。この時ごく限られた地方に風土病的に存在していた“やせる病気”が人口の流失とともに広がり1980年代に米国のサンフランシスやニューヨークの男性同性愛者に広がり、ヨーロッパや日本に侵入したと考えられています。
 すなわち欧米や日本で流行しているエイズウイルスのタイプはHIV−1でチンパンジーで、西アフリカに流行しているタイプはHIV−2でマンガベー型(サルの一種)です。
 これらの事からエイズウイルスはアフリカ起源と考えられています。

 Bエイズウイルスのタイプ
 現在エイズウイルスはタイプは6〜7型に分けられています。
 HIV−1はグループM群とグループO群に分類され、M群はA〜Fのサブタイプ(亜型)に細分されます。
 Aはアフリカのウガンダ・ルワンダ、Bは米国・ヨーロッパ・タイ・ブラジル、CDCはインド・タンザニア・ザイール・セネガル、Eはタイ、Fはブラジルに流行しています。
 したがいまして、現在タイで流行しているタイプはタイA型とタイB型で、タイA型はアフリカ型、タイB型は北米/ヨーロッパ型です。

C各国へのエイズの侵入経路は
 エイズウイルスのタイプから考えて、米国・ヨーロッパにはアフリカから、日本には米国からの血液凝固因子製剤により、東南アジアへはアフリカや米国からと考えられています。

 Dエイズの感染経路
 アフリカでは主に性行為、欧米では性行為と薬物の静注、日本は血液凝固因子製剤によるものが大部分でしたが、現在は性行為による感染主流になりつつあります。
 アジアでは性行為と薬物の静注です。
 歴史的な流れの詳細につきましては、本HPの『簡略エイズ科学史年表』を参照して下さい。



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