Rh血液型について

1.Rh血液型について

 Rh陽性、RhプラスまたはD陽性とも呼ばれ、Rh陰性はRhマイナスまたはD陰性とも呼ばれます。
すなわち、Rh陽性は赤血球の表面にD抗原と呼ばれる物資がありますが、Rh陰性はD抗原がありません。
  Rh陽性の遺伝子型は、D/Dのホモ接合体とD/dのヘテロ接合体があり、Dはdに対して優性です、そのためD/D、D/dは共にRh陽性となります。
反面、Rh陰性の遺伝子型はd/dのホモ接合体しかありません。そのため、d/dはRh陰性の血液型になります。
  よく世間でRh陽性の両親からRh陰性の子供は生まれないと言われますが、それは誤りで、D/dとD/dの両親からはメンデルの遺伝の法則からして25%の確立でd/dすなわち、Rh陰性の子供が生まれます。しかし、Rh陰性同士の両親からはRh陽性の子供は出来ません。


2.Rh陰性の人にRh陽性の血液を輸血するとどうなるか?

 人の体は自分自身が持たないもの(異物)が侵入すると、免疫によりそれを排除する働きがあります。
  Rh陰性の人の赤血球上にはD抗原(物質)がないので、そこへ赤血球上にD抗原(物質)があるRh陽性の血液を輸血すると、異物であるRh陽性の血液を排除する抗D抗体と呼ばれる物質が体の中で作られます。
  この抗D抗体は次にRh陽性の血液が輸血されるとRh陽性の赤血球上にあるD抗原を排除する働きをし、その結果赤血球を破壊します。
  このとき体内で起こる免疫反応でショックを起こし、最悪の場合は死亡します。
  しかし、この現象はRh陰性の人が初めて輸血を受けた時は起こらず、2回目以降に起こります。
  今は、輸血の前には必ずRhの血液型検査を行いRh陰性の人にはRh陰性の人血液を輸血する体制が取られているのでこのような事は起きません。
  余談ですが、Rh陽性の人にRh陰性の血液を入れても何の問題も起きません。なぜなら、D抗原のあるRh陽性の人にD抗原のないRh陰性の血液を輸血しても異物を排除す免疫は働きません。
  Rh陽性の人にRh陰性の血液を輸血しても問題ないことは多くの医者でも危険であると間違った認識をしています。情けないことです。


3.Rh陰性の人は日本人では何人に1人?

 日本人の場合は0.5%で200人に1人です。
これをABO式血液型別に見ますと、A型では500人に1人、B型では1000人に1人、O型では750人に1人、AB型では2000人に1人となります。
 ちなみに白人では15%がRh陰性です。Rh陰性の比率は人種によりかなり差があります。
このように日本人に少ないRh陰性の人の輸血に関しては、全国都道府県にある赤十字血液センターでRh陰性の献血者に対して、Rh陰性友の会の名称で、『献血登録制』を作り、名簿には多くのRh陰性の人々が登録され、輸血を必要とする場合はこのネットワークを使い迅速に全国どの医療機関にも血液が血液センターから届けられる制度が確立されています。
 ちなみに、本年5月24日に善意のチェーンメールと称して、東京の病院でRh陰性の人へ輸血する血液を献血する呼びかけが行われましたが、現実にあのようなことは発生しません。
 この件は、「どこかのオッチヨコチョイ」が何も知らずに人助けと早合点し迷惑なチェーンメールを送ったのでしょう。本当に小さな親切大きなお世話です。


4.Rh陰性の人とに臓器移植について

テレビドラマでRh陰性の子供の臓器移植云々と書かれていましたが、その臓器移植にはABO式血液型Rhの陰性・陽性は何の関係もありません。
  臓器移植の時には、白血球の血液型(HLA)を検査し、白血球の血液型(HLA)が同じ人同士で臓器移植を行います。
白血球にも血液型があるんですよ。ビックリしたでしょう。
  言い換えれば、ABO式血液型やRhの血液型が違っていとも白血球の血液型が同型であれば問題ありません。
  所詮テレビドラマはテレビドラマで、大部分がウソであることを、年頭において見ないといけません。
 血液型・輸血に関することは、新聞・週刊誌・テレビとうのマスメディアでは、間違って伝えられることが、非常に多いです。また、医学の分野でも血液型・輸血の専門書以外の医学書でも間違ってることを書いてあることがあります。

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