血漿交換について

血漿交換は、血液中にある有害な物質を取り除くことを目的として、有害な物質を含む血漿を体内から取り出し、変わりに健康な人から採取した血漿を入れることにより、有害な物質を取り除く治療法です。

例えば、体の中にできた血液型に対する免疫抗体(胎児に悪影響を及ぼす恐れがある)を取り除くために、血液成分分離装置を使い、体の中から免疫抗体を含んだ自分の血漿を取り除きつつ、健康人から得られた血漿を輸血する方法で行います。
血漿交換に使われる血漿は、赤十字血液センターから供給された新鮮凍結血漿(FFP)が使われることが多いです。この場合、他人の血漿を輸血することで、肝炎などの感染症に罹る可能性があることから、最近では、血漿蛋白製剤を使用する場合がほとんどです。
または、母親の血液を機械で採取し、特殊な装置を使い母親の血液中の血液型に対する免疫抗体を吸着して取り除き、免疫抗体が無くなった血漿を元にもどす治療法もありますが、どの方法をとるかはその医療機関の治療方針により異なります。

この血漿交換は非常に高度なテクニックと経験により行われますので、この治療に熟練した特殊な医療機関で治療を受けられることをお勧めします。
費用のことですが、恐らく保健適用となるはずですが、詳しくは治療を受けられる医療機関で詳しく説明を受ける必要があります。これは医師または医事業務に携わる職員が説明することになっています。

血液型に対する免疫抗体の力価(強さ)が非常に強い場合のみに限定し血漿交換を行うのが常で、短絡的に血漿交換を行うことは非常に危険です。
我が国では熟練した医療機関での血漿交換は100%成功しているようですが、血液の鉄人の知る限りではあまり血漿交換は行われていないようです。
一般的には、血液型に対する免疫抗体の場合は血漿交換の適応ではなく、妊娠中に免疫抗体の強さを1カ月おきに検査し、血漿交換するかどうかを慎重に考える必要があると考えます。

血漿交換を受ける際には、一カ所の医療機関での治療方針に全面的に従う事なく、血漿交換治療に熟練した大きな医療機関で診察を受けられ、治療方針を聞かれることをお勧めします。

一般に一度医療機関にかかると、かかった医療機関に義理立てし他の医療機関での診察を受けられない傾向が見られますが、我々が高価な買い物をする場合、品質が良く安価な店を探して買い物をするように、病気で難しい治療を受ける場合は、他の医療機関の医師の意見を聞くことは非常に重要です。 非常に難しい治療を受ける際には、最低でも著名な医療機関2カ所で診察を受け、その結果を総合して治療を受けられることを強く申し上げます。

血液の鉄人

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