血液型と病気の関係

血液型と病気の関係は1960年代から論議されるようになりました。
その歴史的背景としては、

1.ペストとABO式血液型の関係
ペスト菌はO型の持つ血液型抗原H抗原を持つことからO型の人はペストに罹りやすい。

2.天然痘とABO式血液型の関係
A型の人は天然痘に罹りやすい

などが、論議されましたが、統計的処理を行った結果はいずれの説も関係がないことが証明され、現在はこれらの説を支持する者はいません。

3.寄生虫と血液型の関係
血液型の中にダフィー式血液型がありますが、この血液型は、

Fy(a+),Fy(b+)

の二つの抗原から成り立ち、

Fy(a+b+),Fy(a+b-),Fy(a-b+),Fy(a-b-)

の四つに分けられます。
このなかでFy(a)とFy(b)の抗原を持つ人はマラリアにかかりやすく、Fy(a)とFy(b)の抗原を持たない人すなわちFy(a-b-)の人はマラリアにかからないことが証明されています。

マラリアは人の赤血球の表面にあるFy(a)とFy(b)の抗原から赤血球に進入します。
マラリアが風土病で存在するアフリカなどの地域ではFy(a-b-)の人が圧倒的多数を占めます。

日本人ではFy(a+b+),Fy(a+b-),Fy(a-b+)の人が100%を占めFy(a-b-)の人は非常に稀です。
まとめますとダフィー式血液型は、マラリアの感染に密接に関係し、Fy(a)とFy(b)の抗原を持たない人すなわちFy(a-b-)の人はマラリアに罹りませません。

4.ガンとABO式血液型の関係
ABO式血液型とガンの関係もいろいろ論議され、A型はガンになりやすくO型はガンになりにくいとの説も発表されましたが、科学的統計処理によりこの説も否定されています。
これは血液型と性格との関係によく似ています。
このような説は統計処理の手法によりいくらでも都合のよい結果が得られます。

たとえばガンになった人ばかりを集めて、ABO式血液型の分類をすれば、当然A型が一番多いことから、A型の人がガンになりやすいという結果が得られます。
科学的統計処理とは、ガンでない人と、ガンになっている人を比べるなどして、非常に多くの人を対象に調べる必要があります。

血液型と病気の関係はいろいろ論議されますが、現時点では、3番のマラリアとダフィー式血液型しか科学的に証明されているだけです。

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