医事通信(2010年08月16日号)
新規エイズ患者数が四半期としては過去最高!!
厚生労働省は2010年8月13日、2010年4月〜6月に報告された新規エイズ患者数が129人だったと発表しました。
新規HIV感染者報告数は、263件で、過去8位
内訳としては、男性248件、女性15件で、男性は前回(207件)及び前年同時期(248件)より増加し、女性は前回(20件)及び前年同時期(18件)より減少しています。
新規AIDS患者報告数は129件(前回報告94件、前年同時期116件)で、過去1位となりました。
その内訳としては、男性125件、女性4件で、男性・女性とも前回および前々回より増加(男性前回91件、女性前回3件、男性前々回116件、女性前々回4件)しています。
HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は392件で過去3位となっています。
1.新規HIV感染者
同性間性的接触によるものが175件。
異性間性的接触によるものが50件で男性39件、女性11件。
母子感染によるものが1件で、これは平成18年第2四半期以来となっています。
同委員会によると、出産時に抗HIV薬を飲むなど、適切な処置を行えば母子感染は1%以下に抑えられますが、今回の母親は、感染を自覚しながら、医療機関には伝えていなかった可能性が高いということです。
静注薬物によるものが2件。
年齢別では、特に20〜30 代が多い傾向にあります。
2.新規AIDS患者
同性間性的接触によるものが68件。
異性間性的接触によるものが35件で、そのうち男性31件、女性4件。
静注薬物によるものが2件。
年齢別では、特に30代以上に多い傾向が見られました。
※四半期としては過去最高を記録しました。
まとめ
1.検査件数が減少している中で、AIDS患者は四半期報告では過去最多の件数が報告されたことからして、より検査を受けやすい体制を強化するなど、AIDS発症以前に検査により感染を発見できるような対策を強化する必要がある。
2.自治体が実施するHIV抗体検査件数・保健所等における相談件数は、平成20年第4四半期をピークに減少傾向にあり、現在は平成18年の水準に低迷していることからして、国民の関心が薄れていることが危惧されるので、いつでも簡単に検査を受けられるような検査体制の構築と普及啓発を推進する必要があることが痛感されます。
3.保健所等における検査で陽性者が報告されていない自治体において、献血での陽性者が複数報告されていますが、これは感染に気づくことなく献血をして、初めて感染が分かったものと考えられています。
このことからして、地域的な検査体制の状況を再度確認する必要があることと、感染するような行為があれば、献血は絶対しないことと、検査目的での献血も絶対にしないことです。
4静注薬物による感染の報告が合計5件あったことからして、薬物使用に関して動向を注視する必要があります。
written by 血液の鉄人
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