医事通信(2012年11月05日号)
80歳までコンドームは必要??!!
80歳までコンドームは必要と聞けば、多くの人が驚くと思います。
『80歳までコンドームは必要』と呼びかけたのは、米国内分泌学会です。
その内容は、"中高年のセックス教育が重要"と呼びかけ、80歳まではテストステロンの血中濃度は高水準になることからして、80歳までは性活動に積極的であることを否定する必要はなく、
常にコンドームを着用するよう指導し続けるべきであると強調しています。
最近の研究として、57歳から64歳までの73%、65歳から74歳までの53%、75歳から85歳までの26%が性的に活発であることから、中高年層の性行為感染症の感染率が高まりつつあると警告しています。
『Sexuall Transmitted Infections』誌によれば、ここ10年間で性行為感染症の感染率が2倍になった理由として、、中高年になってのセックスは「妊娠の懸念がなく、コンドームを使わないから」と推定しています。
米疾患対策センター(CDC)は、米国での新規HIV感染症の17%、新規AIDS患者の23%は50歳以上と報告しています。
性行為感染症が増える要因として、長寿化や離婚率の上昇・女性の膣内のpHが高くなり性行為感染症に感染しやすくなる・男性ではED治療薬を使う人の方が性行為感染症になりやすいと報告されていることが考えられています。
学会としては「性行為感染症が多いからといって、禁欲を強いるべきではない」と説明し、男性であれば35歳から80歳までテストステロンの血中濃度は高水準であることからして、
「セックスの時には必ずコンドームを着用するよう指導するのが大切」と強調しています。
今回紹介したことは、米国でのことであるから、我々日本人は関係ないと思われがちですが、決してそうではありません。
最近日本においても、ED治療薬の普及により中高年の性活動も活発になってきており、その結果中高年のHIV感染と性行為感染症の増加が確認されています。
従って我が国においても米国と同様に、『80歳までコンドームは必要』となってきています。
『相手が妊娠する危険性はない』・『コンドームを使用すると勃起力が弱くなる』・『男女共にコンドームを使用すると快感が得られない』などと理屈をつけてコンドームを使用しないことは、
非常に危険なことと認識する必要があります。
中高年のセックスを否定はしません何歳になってもセックスは必要不可欠です、大切なことはコンドームを正しく使用してHIVを含む性行為感染症の感染予防対策をするということです。
一人悩むよりまずは検査を!!
written by 血液の鉄人
医事通信│医事通信 バックナンバー|新 医学と切手の極意