医事通信(2013年05月12日号)
ヒトパピローマウイルス(HPV)4価ワクチンの導入後、接種した若年女性だけでなく、同年代の男性においても性器疣贅の新規患者数が大きく減少!!!
オーストラリアでは2007年半ば頃に、国の予算によってヒトパピローマウイルス(HPV)4価ワクチンの無償接種を若年女性(12〜13歳)を主な対象に開始しています。
更に2007〜09年にはキャッチアッププログラムとして、13〜18歳と18〜26歳の女性にもワクチンが無償接種されています。
4価のワクチンは、子宮頸癌の主な原因となるHPV16型と18型に加えて、性器疣贅を引き起こす6型と11型に対して予防効果があるワクチンです。
オーストラリアの研究チームは、同国内のHPV予防接種プログラムが性器疣贅の罹患率に及ぼす影響を評価するために、国内8カ所の『性の健康のための医療サービス施設』で、20004〜11年までに収集されたデータを用いて分析を実施しています。
2004〜11年まで、オーストラリア生まれの患者8万5770人が8施設を初めて受診し、うち7686人(9.0%)に性器疣贅が見つかった。
T.女性の場合
1.21歳未満の性器疣贅の新規罹患率は、07年が11.5%、11年は0.85%となり、92.6%の低下。
2.21〜30歳の新規罹患率は、11.3%から3.1%となり、72.6%低下。
3.30歳以上新規罹患率は、07年は5.6%、11年は4.4%と変化なし。
U.男性の場合
1.若年異性愛者の性器疣贅の罹患率も大きく減少。
2.21歳未満では12.1%から2.2%へと81.8%低下。
3.21〜30歳では18.2%から8.9%へと51.1%減少。
4.30歳以上では罹患率低下は見られなかった。
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まとめ
2011年にメルボルンとシドニーの施設を受診した、HPV予防接種歴がある21歳未満の女性235人の中に、性器疣贅患者は一人も存在していたなった。
異性愛者の若い男性に認められた性器疣贅患者の数の顕著な低下は、集団免疫効果によるものと結論づけています。
血液の鉄人からの追加
1.日本においては、男性へのヒトパピローマウイルス4価の接種は認められていませんが、男性性器疣贅患者を減少させるためにもオーストラリアやその他の国のように男性にも接種を認めるべきです。
2.男性性器疣贅患者の減少は、HIV感染者の減少にもつながることになります。
【医学用語解説】
性器疣贅(せいきゆうぜい)
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生殖器の表面に生じる隆起性の増殖物でHHPV感染者との口腔性交、肛門性交、膣性交での皮膚の接触で伝染する。
一般的にはコンジローム(condyloma)と呼ばれています。
参照文献
Ali H et al.Genital warts in young Australians five years into national human papillomavirus vaccination programme: national surveillance data.BMJ 2013;346:f2032.)
written by 血液の鉄人
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