医事通信(2013年07月08日号)
骨髄移植はHIV感染症の治療法となり得るのか?
骨髄移植によって血液中のHIVが消失??!!
2013年7月3日、米国ハーバード大学の研究チームがHIV感染者2人に骨髄移植を行ったところ、体内の血液中からHIVが検出されなくなったとクアラルンプールで開催中の国際エイズ学会で発表しました。
本当に体内のHIVが完全に消失したかどうかはまだ確認できていません。
長年にわたって抗HIV薬の投与を受けた男性患者2人が、その後リンパ腫と診断されて強い化学療法を経て骨髄移植を受け、この間も抗HIV薬の投与を続けていました。
骨髄移植から約4カ月後の時点では血液中からHIVが検出されていましたが、6〜9カ月後には検出されなくなったとのことです。
その後抗HIV薬の投与を中止しましたが、通常なら数週間もすれば血液中のHIVは再び増えてくるにもかかわらず、ひとりの患者は抗HIV薬の投与を中止してから15週間、もうひとりの患者は8週間経過後も血液中にHIVを検出されていません。
しかし、検査で見つからないだけで(検査の感度以下のHIVが存在している)体内のどこかにHIVが残っていて、再び増殖してくる可能性もあり、移植の長期的、全体的な効果はまだまだ闇の中です。
2007年にベルリンで白血病の治療のために骨髄移植を受け、HIVが検出されなくなった症例がありますが、これはHIVに感染しない非常に珍しい遺伝子変異(CCR5デルタ32)をもつ人の骨髄液が使われています。
このような珍しい遺伝子を持つ人は、白人の1%以下でアフリカ系やアジア系の人々には存在しません。
当然今回の骨髄提供者は、遺伝子変異(CCR5デルタ32)を持っていないことが確認されています。
HIVに感染する可能性のある行為をしてしまったら、必ず検査を!!!
病院や保健所に行きづらいと言って検査を受けないのではなく、まずは自宅検査キットで検査を!!
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では、何がHIVを追いやったのだろうか?
考えられることとして、骨髄移植のあとも長期間にわたって抗HIV薬を投与していたことにより、ドナーの細胞のHIV感染が阻止された公算が大きいと推測されています。
更にドナーの細胞が患者自身の細胞を攻撃する、いわゆる移植片対宿主病(GVHD)が何らかの役割を果たしたことも推測されています。
しかし、移植片対宿主病(GVHD)は通常移植の望ましくない合併症で、死に至ることがあります。
従って、命を脅かす可能性のある移植片対宿主病(GVHD)を無視してまでもHIV治療のために骨髄移植を行うべきか多くの疑問点が残されています。
今回の事例は、ひとつの臨床結果として捉えるべきで、骨髄移植がHIV治療の最善の方法とは現時点では言えません。
移植片対宿主病 【医学用用語解説】
骨髄移植で起こる移植片対宿主病(いしょくへんたいしゅくしゅびょう:Graft Versus Host Disease; GVHD)とは、ドナー(臓器提供者)の骨髄液が、免疫応答によって移植を受ける者の臓器を攻撃することによって起こる症状の総称。
written by 血液の鉄人
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