医事通信(2013年11月27日号)
HIV陽性血液すり抜け患者に輸血!!!!
2013年11月25日、厚生労働省と日本赤十字社は、HIV陽性血液が検査ですり抜けて2名の患者に輸血されたと発表しました。
HIV陽性血液が検査ですり抜けて患者に輸血されたのは、2004年にHIV検査の強化がされて以来初めてのことです。
2013年11月の献血時の検査において、40代男性献血者の血液中にHIV抗体が検出された。
この男性は数カ月前にも献血をしていたことから、血液センターが保管していた検体を再度検査した結果NAT検査でHIVの遺伝子が検出された。
その後の調査において、この血液が2人に使用され、赤血球製剤(赤血球濃厚液)の輸血を受けた80代の女性は感染を免れましたが、血漿製剤(新鮮凍結血漿)の輸血を受けた
60代の男性の感染が確認されています。
何故血漿製剤(新鮮凍結血漿)の輸血を受けた患者が感染し、赤血球製剤(赤血球濃厚液)の輸血を受けた患者が感染しなかったのか?
血漿製剤(新鮮凍結血漿)の中にはHIVが多く含まれていたことから感染し、赤血球製剤(赤血球濃厚液)は血漿の大部分が除去されていたことから血液中のHIVの量が少く
かろうじて感染を免れた考えられます。
何故このようなことが発生したのか?
HIVに感染後12週間は、体の中にHIV抗体が出来てもその量が少ないことからHIV抗体検査ではすり抜けてしまうことがあります。
いわゆる「ウインドーピリオド(空白期間)」です。
このHIV抗体による「ウインドーピリオド(空白期間)」をなくすることから、血液センターでは1999年からNAT検査を導入しています。
NAT検査は、HIV・HBV・HCVのウイルス遺伝子の一部の核酸をを同時に検出できる検査法です。
しかし、のNAT検査は献血者50人分の血清をプールして行う「50人プール法」であったために、件出感度が悪くなり2003年にHIV陽性血液がすり抜けて患者がHIVに感染したことから、
2004年から件出感度を上げて、「20人プール法」に変更しています。
しかし、「20人プール法」においてもすり抜けが発生したことから、今後は1人ずつのNAT検査に変更する予定とのことです。
今回HIV陽性血液がすり抜けた原因は!!
1.「20人プール法」によ感度の悪さ。
2.献血者が感染するリスクがある行為をしているにもかかわらず、献血の際の問診においてこれを申告しないで献血した。
3.検査目的の献血が未だ存在する。
※日赤の聞き取り調査に対し、この男性は2013年2月に献血を行った際、献血の直前にに同性との性交渉があったことを隠し、、献血時の問診では、そうした行動があったか確認する質問に「いいえ」と回答していました※
従って厚労省は検査目的の献血だったとの見解を示しています。
HIVに感染する可能性のある行為をしてしまったら、必ず検査を!!!
病院や保健所に行きづらいと言って検査を受けないのではなく、まずは自宅検査キットで検査を!!
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"200万分の1"のすり抜け!!
血液センターの実施しているNAT検査は、極めて検査精度が良いことからして、今回のすり抜けは計算上は"200万分の1"のすり抜けとなりますが、いくら精度が良くてもHIV陽性血液がすり抜けること自体問題です。
いくら検査の精度が高くても、HIVに感染する行為をして感染して11日以内に献血をすれば当然「HIVのウインドウーピリオド(空白期間)」であることから、NAT検査は陰性となってしまいます。
今回は、この男性が検査目的で献血を行い、献血をした時には「HIVのウインドウーピリオド(空白期間)」でNAT検査をすり抜けた考えられます。
※絶対に検査目的での献血はしてはなりません※
※HIV検査は医療機関および保健所で受けることです※
written by 血液の鉄人
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