■□□□□ エイズは正しい知識を身につけることで予防可能な病気です!! □□□□□
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新・医学と切手の極意
鉄人レター
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2008/12/29(No.8)
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■■ エイズの治療法について ■■
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今回は、エイズの治療法について解説致します。
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□HIVを殺す治療薬はあるのか?
現在HIVを直接殺す薬剤はありません。
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□何故HIVを直接殺す薬剤がないのか?
白血球の中に入り込んだHIVを直接殺すのは、感染した白血球をも殺すことになります、
HIVに感染した白血球を直接破壊すれば、白血球が減少して、免疫不全に陥り、多くの
日和見感染症に感染することになるからです。
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□現在の治療薬はどのようなものなのか?
現在の治療薬は、HIVが増殖する過程をブロックする薬剤と、HIVが白血球に入り込むこ
とを防ぐ薬剤があります。
これらの薬剤は、HIVを直接殺す働きはしません。
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□最初に開発された治療薬はどのようなもの?
核酸の構成物質である、チミジンの水酸基の一つをアジドに置換したアジドチミジン
(AZT)が、HIV-1の増殖を抑制することが判明し、1987年に米国で初めての抗HIV-1薬と
して認可されました。
薬剤のターゲットはHIVの酵素の一つである逆転写酵素(RT)です。
薬剤の作用機序としてはウイルスの逆転写の際、偽物の核酸を取り込ませて逆転写を途
中で止める事によって、HIVの増殖を抑制する働きをします。
これ以後、多くの核酸を基本とした核酸系逆転写酵素阻害剤(Nucleoside analogue RT
Inhibitor:NRTI)の開発がされました。
しかし、単一種の薬剤による治療では薬剤耐性HIVの出現が避けられず、また重篤な
副作用により、治療を中断せざるを得ない状況になった経緯があります。
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□現在使用されている薬剤はどのようなものがあるの?
治療方法の効果を高めるために、1980年代後半にはHIVの再生産の時に働くウイルス酵素
の一つのプロテアーゼをターゲットとする薬剤の開発がされました。
薬の作用機序としては、プロテアーゼの活性中心に結合し、機能を阻害する働きをします。
1990年代前半にいくつかのプロテアーゼ阻害剤(Protease Inhibitor:PI)が開発され、
1995年に米国で最初のプロテアーゼ阻害剤であるサキナビルが正式に認可されました。
さらに1990年代前半に、それまでとは作用機序の異なる、逆転写酵素阻害剤の開発が始まり、
それまでの逆転写酵素阻害剤とは働きが異なる、逆転写を止めるのではなく、逆転写酵素の
活性中心に結合し機能を阻害する、プロテアーゼ阻害剤と同じ発想の薬剤が開発されました。
核酸を基本としないことから、非核酸系逆転写酵素阻害剤(Non-Nucleoside RT Inhibitor:
NRTI)と区別され、1996年に米国でネビラピンとして認可されました。
この様にして、1990年代中頃には数種類の抗HIV-1薬が登場することになります。
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□多剤併用療法HAART(カクテル療法)とは何?
HAART療法(Highly Active Anti-Retroviral Therapy)とは、複数の抗HIV-1薬を各人の症
状・体質に合わせて組み合わせて投与し、HIVの増殖を抑えAIDSの発症を防ぐ治療法です。
1996年の国際エイズ学会で逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤を併用することによっ
て、劇的に治療効果が向上したとの発表がされ、この時を境にHIV感染症治療として、多数の
薬剤を組み合わせてウイルスの増殖を抑える、多剤併用療法HAARTが行われるようになった
経緯があります。。
これ以後以後、先進諸国ではHAARTによりAIDSによる死亡率が顕著に低下し、患者予後が
著しく改善される様になりました。
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□多剤併用療法HAARTは治療効果をあげているのか?
HIV-1は突然変異を起こしやすいことから、ひとつの薬剤ではすぐに薬剤耐性HIVが出来
てしまいます。
薬剤耐性変異は、それぞれの薬剤ごとに特異的な変異をすることが解っていることから、
薬剤それぞれの耐性変異が重ならないように薬剤を組み合わせて処方されます。
核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤は、それぞれ
全く異なる耐性変異を起こすことから、これら三種類の薬剤から一つないし二つずつの薬剤
を選択し、組み合わせて処方します。
しかし、同種の薬剤には耐性変異が同じ様に現れるものがあります、これを交叉耐性と呼
びます。
例えば、核酸系逆転写酵素阻害剤の場合、AZTとd4Tは同じ変異が現れるので、同時に使用
する薬剤を選択する際には、予想される耐性変異を考慮して組み合わせて処方します。
最近では、一度に服用する薬剤の数を減らすため、はじめから二種類の薬剤を合わせたコン
ピビル、エプジコム、ツルバダ、カレトラといった合剤が作られており、普及しつつあります。
このような使用法をしても、薬剤耐性HIV及び副作用が生じた場合は、薬剤の組み合わせを色々
と変えて処方されます。
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□薬剤耐性とは?
最近では、薬剤耐性HIVの出現前に、血中のウイルスを検出限界以下まで減らすことが
できるようになっています。
しかし、初回治療で感染者の血中ウイルス量が、検出限界以下までに抑えられる割合は、
60%以下で残りの40%は、何らかの原因で血中のウイルス量が、検出限界以下にすることは
出来ていません。
その原因の多くが、薬剤耐性HIVによるものです。
薬剤の組み合わせを変更することにより、改善する場合もありますが、中には多数の薬剤
に対して耐性を示し、現在認可されているすべての薬剤に対し耐性を示す症例も多くあります。
薬剤の使用歴が長く、使用した薬剤の種類が多い感染者ほど、多くの薬剤に対して耐性を
起こすHIVが出現しやすくなります。
更に薬剤耐性HIVは、薬剤の血中濃度が十分でないときに出現するため、薬を決められた
とおりに服用しない感染者では、薬剤耐性HIVの出現度が高くなる傾向があります。
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□現在の治療薬の効き目は?
HIVの増殖を抑えるように種々の薬剤を組み合わせた治療方法が行われ、多くの感染者の
発病を遅らせることにはある一定の成果を上げていますが、それでも薬剤耐性HIVの出現を
防止することは難しく、満足のいく治療効果を上げていないのが現状です。
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□治療薬の副作用について
すべての薬剤に副作用があるように、HAARTにおいても副作用が多く存在します。
その副作用の中には、死に至るまで重症化することもあるのが現実です。
長期にわたって薬剤を服用するため、様々な副作用が起こることは避けることは出来ま
せん。
例えば、
核酸系逆転写酵素阻害剤によって引き起こされる、ミトコンドリア障害に起因する乳酸ア
シドーシス、脂肪肝は特に重大な副作用のひとつで、その結果、肝機能障害を引き起こし
死に至る場合もあります。
また、プロテアーゼ阻害剤では、体脂肪分布異常や高脂血症など、リポジストロフィー
といわれる体脂肪異常が起こり、その結果、動脈硬化などの血管疾患を引き起こします。
副作用が出た場合は薬剤の変更が検討されますが、薬剤耐性HIVとの関連もあり、治療薬
を色々と変更して処方することにも自ずから限界があります。
そのことから、治療によるメリットと副作用によるデメリットを十分に考慮しながら、
やむなく治療を中断することもあります。
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□治療費はどれくらいかかるの?
HIVの治療薬は高価で実費で払うと、月20〜30万円くらいになります。
保険を使用した場合は3割負担なので、7万円位にはなります。
日本では、自立支援医療制度(旧更生医療)があるため身体障害者認定を申請して認めら
れれば本人収入によっては、月1万円前後になりますし、収入が低いと場合によっては自己
負担は0になることもあります。
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※まとめ※
現在HIVを直接殺す薬剤はありませんので、HIVに感染しないように各自が正しい感染予防
に心がけるとか対策はありません。
『予防は最善の治療法』と各自が認識することが大切です。
HIVを直接殺す薬剤の登場までは後10年はかかるでしょう。
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