■□□□□ エイズは正しい知識を身につけることで予防可能な病気です!! □□□□■ ■□□□□□□□□□□□□ 正しい知識を身につけて予防 □□□□□□□□□□□■ 新・医学と切手の極意 鉄人レター ■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■ 2019/02/28(No.133) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ 血液製剤からのHIV感染について ■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2019年2月、中国国内で製薬会社の上海新興医薬股フン有限公司が製造した血液製剤、 静脈注射人免疫グロブリン製剤がHIV抗体検査で陽性の結果が出たと報じられたことをご存 知でしょうが、日本国内でこのようなことが起こり得るかを検証してみました。 ================================================================================ □ 血液製剤とは 最初に各種製剤について解説します。 1.血液製剤 血液製剤とは、ヒトの血液を原料として製造される医薬品の総称です。 血液製剤は大別すると「全血製剤」、「血液成分製剤」、「血漿分画製剤」の三種類に 分類されます。 ※輸血用血液製剤は、「赤血球製剤」、「血漿製剤」、「血小板製剤」、「全血製剤」に 分類される※ 1)全血製剤 全ての血液成分(赤血球・白血球・血小板・血漿)を含む製剤。 2)血液成分製剤 全血から遠心分離によって血液の成分を物理的に分離したもので赤血球、血漿、血小板 などの個々の成分を成分輸血として使用されます。 3)血漿分画製剤 血漿は、各種のタンパク質、ブドウ糖、脂質、金属イオン、電解質、ホルモン、ビタミ ンなどを含んだ液体です。 特に重要なタンパク質を物理化学的に各々の成分に分け、それら成分ごとに精製したも のが"血漿分画製剤"です。 "血漿分画製剤"は、アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤、アンチ トロンビンIII製剤、フィブリン糊製剤などがあります。 ※一般的に血漿分画製剤をとくに血液製剤と呼ぶ事が多い※ -------------------------------------------------------------------------------- □ 血液製剤の検査は何を実施しているのか 日本国内では、血液製剤の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、 抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体及び抗HTLV-1抗体陰性で、かつALT(GPT)値でスクリーニング を実施しています。 さらに、念を入れてHBV、HCV及びHIVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血 漿を本剤の製造に使用しています。 しかしいくら感度の良いNAT検査をしても感染初期の場合は、当該NATの検出限界以下のウ イルスが混入している可能性が常に存在し、NAT検査が偽陰性となる危険性はあります。 その後の製造工程であるコーンの低温エタノール分画、有機溶剤/界面活性剤処理(TNBP/ TritonX-100処理)及びウイルス除去膜によるろ過処理は、HIVをはじめとする各種ウイルス に対し、不活化・除去作用を有することが確認されています。 -------------------------------------------------------------------------------- □ ガンマーグロブリン製剤の安全性は 原料となる個々の血漿について、HIV、HCV、HBV等のウイルス検査を行い、検査で合格し た血漿だけが、原料として製造に使われます。 ガンマーグロブリン製剤では,製造工程上 HIV、HCV、HBVは混入しないことが証明され ています。 さらに HIV以外でも現在のような除去・不活化工程が導入されてからはHBV、HCVを含め さまざまなウイルス感染に関する報告はありません。 -------------------------------------------------------------------------------- □ アルブミン製剤の安全性は 原料となる個々の血漿について、HIV、HCV、HBV等のウイルス検査を行い、検査で合格し た血漿だけが、原料として製造に使われます。 製造過程において、エタノール濃度を変えて何度も精製されることから、ウイルスが存在 した場合でも精製過程で、アルブミンから分離しされ除去されます。 また高濃度のエタノールで、ウイルスは不活化されます。 更に製造後60℃、10時間液状加熱処理(パスツリゼーション)されますので、ここでもウイ ルスは不活化されます。 アルブミン製剤は、1940年代から世界で使用され、今日までウイルスに感染したという報 告はありません。 ===============================================================================
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