カポジ肉腫
AIDSによるカポジ肉腫
カポジ肉腫は、一般的には皮膚に多く出来ますが、四肢、頭頸部、体幹、内臓など、全身のいたるところに出来ます。
典型的なカポジ肉腫は、大きさは直径数mm〜数cm、色調は紫色から黒褐色の皮膚病変で、局所にかたまって出来たり、 ,
あるいは全身に散らばって出来たりというように、症例によって様々な出来方をします。
進行すると広がり、四肢や顔面に著明なリンパ浮腫を伴うこともあります。
また、口蓋や歯肉など、口腔内にも出来ます。
さらに、消化管や肺にも出来、その他あらゆる臓器に発生する可能性があります。
カポジ肉腫が出来た患者全てからHHV-8(Human herpes virus type 8:ヒトヘルペスウイルス8型)が検出され、HHV-8が
カポジ肉腫の原因ウイルスであることが明らかにされています。
HHV-8はカポジ肉腫の原因ウイルスで、日本人では1%ぐらいはすでに感染していますが、健康な人では発病しません。
しかし、HHV-8に感染した人がHIV感染により免疫不全になるとカポジ肉腫を発症することがあります。
カポジ肉腫の確定診断は、病理組織診断による免疫染色で行いますが、HHV-8関連抗原は必ず陽性となります。
日本におけるカポジ肉腫の患者は男性同性愛患者がほとんどで、女性は稀で、AIDS患者の5〜10%に見られます。
よく、不安な行為をして数日から数週間後に皮膚に出来物が出来ると、カポジ肉腫ではないかとの相談を受けますが、
初期症状としてのカポジ肉腫はありません。
カポジ肉腫の出来る時期としては、HIVに感染後数年経過した時点です。
カポジ肉腫を合併しているAIDS患者にHAART療法(Highly Active Anti-Retroviral Therapy:複数の抗HIV-1薬を各人の
症状・体質に合わせて組み合わせて投与し、ウイルスの増殖を抑えAIDSの発症を防ぐ治療法)を開始することで、
カポジ肉腫の病変自体も徐々に改善してくるということが分かってきていることから、HAARTによってカポジ肉腫の
治療法としてのひとつになっています。
カポジ肉腫の治療としてのHHV-8に対する抗ヘルペスウイルス薬は全く効果がありません。
歯肉に出来たカポジ肉腫
顔面に出来たカポジ肉腫
上腕部に出来たカポジ肉腫
胸に出来たカポジ肉腫
背中に出来たカポジ肉腫
カポジ肉腫
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