咽頭淋菌感染症について
一部改定いたしました
改定箇所は
赤字
で記載しています。
咽頭淋菌感染症とは何ですか?
オーラルセックスなどにより、淋菌が咽頭に感染して炎症を起こすというものを言います。
咽頭淋菌の感染する場所はどこですか?
咽頭に感染します。
感染するとどのような症状が出るのですか?
85〜90%は無症状で、症状があったとしても、咽頭の痛み、発赤程度で、殆どの人は感染に気づくことがありません。
咽頭淋菌感染症を治療しないとどうなるのですか?
男女とも喉に淋菌が感染してもほとんど症状も出ないことから、ディープキスやオーラルセックスで、配偶者・恋人等に感染させる危険性が高いことから、感染を放置してはいけません。
咽頭淋菌感染症の検査はどのような検査があるのですか?
咽頭淋菌に対して培養検査やPCR法などでは、口腔内の常在菌であるナイセリア属などを検出してしまい、本来淋菌に感染していない人を誤って淋菌としてみなしてしまうこともあります。
遺伝子増幅検査のうち古いPCR法は咽頭に住み着いている常在菌(非病原性菌)に反応してしまうため、 口腔内の検査では新しいTaqManPCR法、SDA法もしくはTMA法が用いられます。
咽頭淋菌感染症の検査はいつ受けたらいいのですか?
ディープキスやオーラルセックスを行い、数日後に喉に違和感があれば、直ぐに受診する必要があります。
しかし、現実は感染してもまず自覚症状がないことから、極端な話し、一度でもディープキスやオーラルセックスをした経験のある人なら淋菌に 感染している可能性はゼロ≠ナはないことからして、知らず知らずの感染している可能性がないとも言い切れないので、 特に風俗店を利用したことがある、 不特定多数の異性とディープキスやオーラルセックスの経験のある人は、一度、しっかりと咽頭淋菌検査を受けることを強くお勧めします。
受診した際には、必ず行った行為を詳しく申告しなと単なる咽頭炎として淋菌感染を見逃されることがありますので、注意が必要です。
咽頭淋菌感染症の治療法はどのようにするのですか?
抗生物質やサルファ剤による内服治療が用いられまが、咽頭淋菌感染症は多くの内服薬に対し耐性化を示し、無効なことが多くなってきています。
咽頭淋菌感染症は性器への淋菌感染の治療に比べると治りにくく、治療期間も長引きやすいことから、治療の際には医師の指導・指示に従い、 自己判断で服用を止めることは絶対にしてはいけません。
咽頭淋菌感染症は有効な抗生剤の点滴1回で95%以上の有効性が認められていますが、点滴2週間後以降に検査で陰性となっていることを確認する必要があります。
日本性感染症学会が定めるガイドライン(2016) には、病変のある部位に応じて使用する薬剤が定められており、確実に有効な薬剤としてセフトリアキソン(CTRX:ロセフィン)、 セフォジジム(CDZM:ケニセフ、イノセフ)、スぺクチノマイシン(SPCM:トロピシン)の注射薬3剤があげられています。
成人および青年の口腔咽頭の淋菌感染症には、単剤治療ではなく2剤治療を推奨する。 2剤治療(下記のなかの1つを選択する)
セフトリアキソン250mg筋注(単回)+アジスロマイシン1g内服(単回)
セフィキシム400mg内服(単回)+アジスロマイシン1g内服(単回)
セフトリアキソン250mg筋注(単回)
※口腔咽頭の淋菌感染症では単剤治療後の治療不成功が観察されているため、単剤治療よりも2剤治療を提案されています、この勧告は妊婦にも適用できますが、 合併症について濃厚に監視すべきで、口腔咽頭感染症は肛門直腸感染症と同程度に積極的に治療すべきです。
性器と咽頭への淋菌感染は別のもの?
性器へ淋菌が感染した場合、パートナーへの感染予防のために、完治するまでは性行為は厳禁です。
「治療中でもフェラチオなら彼氏には感染させない」、「性器の検査で淋菌に感染していなかったので、咽頭への感染はない」、「治療中でもクンニンリングスなら彼女には感染させない」 といった誤った認識から、パートナーに感染させている事例が多くあります。
性器への感染と咽頭への感染は別々に感染するということです、性器には感染していても、咽頭に感染していないこともありますし、咽頭に感染していても性器には 感染していないこともありますし、性器と咽頭の両方に感染していることもあります。
咽頭淋菌症の現状は?
淋菌性尿道炎の約60%が、風俗店などで働いている人の咽頭からの感染とされている統計があります。
性器から淋菌が検出された人の男性咽頭淋菌検出率12〜29.4%。
性器から淋菌が検出された人の女性咽頭淋菌検出率33.3〜70%
特に女性に感染者が多く、海外での平均検出率10%と比べても非常に高い統計結果があります。
また、淋菌のほうがクラミジアよりも咽頭への感染が高いことが知られています。
性病科を受診した男性の11%、女性の34%に咽頭淋菌が検出されたとの報告もあります。
咽頭淋菌症はコンドームで感染予防は可能?
咽頭への感染経路は、ディープキス・オーラルセックスなどによるため、性行為の際にコンドームを使用しても感染は防げません。
オーラルセックスの際にも、男女ともコンドームを使用しないと感染予防は出来ません。
咽頭淋菌症検査はパートナーと二人でなぜ受ける必要があるのですか?
ディープキスやオーラルセックスでも感染する危険性が高いことから、必ずパートナーと一緒に検査を受けて下さい。
咽頭感染の殆どは無症状で、パートナーが自覚症状が無くても安心できません。
咽頭に淋菌が感染しているとHIVに何故感染しやすいのですか?
淋菌に感染して咽頭粘膜がタダレていると、粘膜の防護バリアーが破壊されて、HIVの感染確率が数十倍と高くなりますので、注意が必要なのです。
1回の性行為での感染率は?
1回のオーラルセックスでの感染率は、30%程度と言われています。
何科を受診すればいいのですか?
男性、女性とも耳鼻咽喉科。
ただし、耳鼻咽頭科でも治療や検査を行っていない病院もあるので、受診前に電話などで予め確認されることをお勧めします。
最近では性病科でも検査をしているところもあります。
一部改定日
2021年9月2日。
written by 血液の鉄人
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