尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)について
尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)とは何ですか?
- ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染によって発症する性行為感染症のひとつです。
- 尖圭コンジローマは決してめずらしい病気ではありません。
- 尖圭コンジローマは、性行為感染症の中では、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペスウイルス感染症に続いて報告が多く、全国で約3.9万人の患者がいるといわれています。
- 患者年齢では男性より女性が若い傾向にあります。
- 尖圭コンジローマの患者は、10代後半〜30代の若い人が中心で、男女別でみると、男性は25〜29歳にピークであるのに対し、女性は20〜24歳がピークで、女性の方が男性よりも年齢層が少し低い傾向があります。
- セックスの経験がある人なら誰でも感染・発症する可能性がある病気です。
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)とはどのようなウイルスですか?
- ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)と呼ばれ、ヒト乳頭腫ウイルスとも呼ばれます、ここではヒト乳頭腫ウイルス(HPV)と名称を統一して紹介します。
- ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)には、良性型と悪性型があり、尖圭コンジローマは主に良性型のウイルスが原因といわれています。しかし、尖圭コンジローマにかかった人の中から、悪性型のヒト乳頭腫ウイルス(HPV)が同時に発見されることがあります。
- 男性の場合、この悪性型のヒト乳頭腫ウイルス(HPV)は「陰茎がん」に関わりが深く、またパートナーに対して「子宮頸がん」を引き起こすことがわかっています。
- 尖圭コンジローマは主にHPV6・11型が、子宮頚癌や陰茎癌は主にHPV16・18型が原因となります。
尖圭コンジローマの感染する場所はどこですか?
- 陰茎・亀頭・陰嚢・肛門・小陰唇・大陰唇・膣内・会陰部・大腿・まれに口唇・口腔内に、乳頭状・鶏冠状の疣贅(ゆうぜい)、俗に言う「イボ」が出来ます。
- イボの色は、白、ピンク色、褐色(黒っぽい茶色)、黒色などで、形はさまざまですが、先がギザギザに尖っていることが特徴です
尖圭コンジローマの感染経路はどのようなものがあるのですか?
- 性行為やオーラルセックスで感染します。
- また、手指・器具などを介して感染することも、まれにあるようです。
- まれにサウナや公衆浴場などからも感染することもあります。
感染するとどのような症状が出るのですか?
- かゆみや痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、かゆみや痛みを感じる場合もがあります。
- また、イボが増えたり、患部が広がる場合もあります。
尖圭コンジローマを治療しないとどうなるのですか?
- 症状がどのように進行するかは個人差がありますが、尖圭コンジローマを放置しておくと、人によってはイボの数が増え、患部が広がることがあります。
尖圭コンジローマの検査はどのような検査があるのですか?
- 性的接触後3週から数ヵ月後の発病することから、肉眼的に見て大部分診断可能です。
- 確定診断には切除したイボ組織の病理学的検査または人乳頭種ウイルス(HPV)の証明が必要となります。
- しかし人乳頭種ウイルス(HPV)のウイルスの分離と培養が不可能であるため、人乳頭種ウイルス(HPV)の検出には、人乳頭種ウイルス(HPV)のDNAを決定する方法が行われています。
- 病変部を綿棒で拭って採取するハイブリットキャプチャー法にて人乳頭種ウイルス(HPV)の検査を行います。
- 人乳頭種ウイルス(HPV)の証明は健康保険が適用されないため全額自費検査となり、検査を行える医療機関は今のところそう多くありません。検査を受ける場合は事前に当合わせる必要があります。
- 受診する診療科は、皮膚科・性病科・泌尿器科・産婦人科(女性)です。
尖圭コンジローマの検査はいつ受けたらいいのですか?
- 潜伏期間は3週間から数ヶ月の長期に渡ることがあり、感染源を特定できないこともしばしばあることから、検査を受ける時期は難しく、イボが出来てから受けるしか方法がありません。
尖圭コンジローマの治療法はどのようにするのですか?
- 薬剤治療と外科手術による治療法があります。
- 1.薬剤治療
- ポドフィリン液(毒性の強い樹液を精製した薬剤)
- 5FU軟膏(抗がん剤の軟膏)
- ブレオマイシン軟膏(抗がん剤軟膏)
- ベセルナクリーム(尖圭コンジローマ治療薬)
- 2.外科治療
- 液体窒素凍結手術
- 電気メス切除手術
- 電気焼灼手術
- レーザー光線蒸散手術
- 治るまでの期間は、症状によって違いますが、多くは数ケ月以上かかります。
- 再発しやすい病気なので、治療後も少なくとも3ケ月は通院して再発の有無を確認してもらう必要があります。
- もう治ったと素人判断することは非常に危険です。
尖圭コンジローマ検査はパートナーと二人でなぜ受ける必要があるのですか?
- 尖圭コンジローマを放置しておくと、大切なパートナーに感染させてしまう恐れがあります。
- そのことから「もしかして尖圭コンジローマ?」と思ったら、すぐに受診し、診断結果が出て治療が終わるまでセックスは避けたほうが良いでしょう。
- 尖圭コンジローマは、パートナーも同時に感染していることが多く、トナーの3人に2人の割合で、9ケ月以内に感染するという報告もあります。
- あなたが感染していたら、パートナーも感染している可能性がありますので、受診して下さい。
尖圭コンジローマに感染しているとHIVに何故感染しやすいのですか?
- 通常の性行為ではHIVの感染率は平均2%前後と言われていますが、尖圭コンジロームになるとHIVに感染するリスクが数倍〜百倍高まると言われています。
- その理由は、イボの傷口がHIVの侵入口となるためです。
- 特に、アナルセックスが原因で肛門の尖圭コンジロームになった人の4人に1人はHIVに感染しているという統計が出ています。
- 海外ではHIV予防対策として、尖圭コンジロームや性器ヘルペス等の治療でHIVを抑制しようとしています。
- それほど尖圭コンジロームとHIV感染には深い関連性があるということです。
- 肛門の尖圭コンジロームになったら、尖圭コンジロームの治療と併せてHIV検査を受けることを強くおすすめ致します。
尖圭コンジローマの感染予防はどうすればよいのですか?
- 尖圭コンジローマは、原因となる人乳頭種ウイルス(HPV)が主にセックスやオーラルセックスで感染するため、予防にはコンドームの使用が大切です。
- しかし、会陰部や外陰部、肛門など、尖圭コンジローマがコンドームでカバーできない範囲にある場合、感染を予防することは難しいとされています。
尖圭コンジローマの治療中のセックスはどうすればよいのですか?
- 治療中のセックスは、治療によって傷口ができると、色々の病原体も感染しやすくなります。皮膚が再生し、症状がおさまったことを確認するまで、セックスは避ける必要があります。
- 治療が終わりイボが消えて症状はなくても、パートナーが感染していたり治療を終えていなければ、再び感染する可能性がありますので、パートナーが感染していない、あるいは治療を終えていることを確認出来るまでセックスは避ける必要があります。
尖圭コンジローマは再発しやすいと聞きますが何故ですか?
- 実際再発の多い病気です。現在のところ、手術でもくすりでも、人乳頭種ウイルス(HPV)を完全に体から排除できません。治療後3カ月以内に約25%が再発するといわれています。
- 目に見えるイボは取り除いても、人乳頭種ウイルス(HPV)はその周辺部に残っていて、また新たなイボを形成することがありますので、症状が完全におさまるまで、根気よく治療を続けることか大切です。
- 人乳頭種ウイルス(HPV)を完全に排除できませんが、からだの自然治癒力(免疫力)が高まってくると、症状は出にくくなります。
- 再発しても深刻に考えず、症状が出るつど、きちんと治療をすることが重要です。
★子宮頸がん予防ワクチンが発売されました!★
- 子宮頸がんは、人乳頭種ウイルス(HPV)による感染症であることは既に紹介しましたが、人乳頭種ウイルス(HPV)のうち、特にがんを引き起こしやすいのが、16型と18型です。
その16・18型人乳頭種ウイルス(HPV)に対する予防ワクチンは、海外ではすでに使用されていましたが、ようやく日本でも2009年12月22日から発売されました。
- 16・18型人乳頭種ウイルス(HPV)に未感染の人が対象ですので、主に性行為を始める前の年齢の女子に接種することが推奨されています。
- しかし、すでに発病してしまった人には治療効果はありませんが、16・18型人乳頭種ウイルス(HPV)に感染していない人には効果が期待でき、治療後の再感染予防にも効果が期待されますので、接種することをお勧めします。
- 予防効果を確実にするには、3回の接種が必要なので、1人当たりワクチン代だけで36000円、これに診察代と接種料金が自費でプラスされますから、1人5万円くらいの自己負担になります。
HPVワクチンの4価ワクチンと2価ワクチンはどう違うのですか?
- 子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウィルス)に対する予防ワクチンには、「4価ワクチン」と「2価ワクチン」があります。
「4価ワクチン」と「2価ワクチン」とは、いくつのHPVの型に対するワクチンであることを意味しています。
- 「2価ワクチン」は、それぞれ子宮頸がん発症の高リスクグループである、HPV 16型、HPV 18型を対象とし、「4価ワクチン」はHPV 16型、HPV 18型と共に低リスクグループのHPV 6型とHPV 11型をも対象としています。
低リスクグループのHPVは、子宮頸がんを発症することはまれで、HPV由来の病変である、「尖圭コンジローマ」の発症に関与しています。
- 2価ワクチン」がハイリスクを対象とした子宮頸がん予防に重点を置くのに対し、「4価ワクチン」は子宮頸がんと尖圭コンジローマまでを予防対象を広げたワクチンで、投与を受ける際には、どちらのワクチンであるか知っておく必要があります。
- 先進国ではすでに「4価ワクチン」を男性の「尖圭コンジローマ」予防のために接種を開始しています。
- 現在我が国で接種が始まったHPVワクチンは、「2価ワクチン」で、「4価ワクチン」は後半年から1年先の認可される予定です。
何科を受診すればいいのですか?
- 男性 皮膚科、性病科
- 女性 皮膚科、産婦人科、性病科
written by 血液の鉄人