性感染症のための10章
−3.梅毒検査の10章−
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以下本文
性感染症のための10章記事について
今回から連載する『性感染症のための10章記事について』は、各性感染症についての疑問を10章に要約してわかりやすく解説していくことを 目的で連載していきますので是非とも続けてご一読下さい。
第3回目は『3.梅毒検査の10章』です。
1.梅毒検査の種類とは
1)脂質抗原検査・・RPR(Rapid Plasma Reagin)検査
2)梅毒トレポネーマ検査・・TPHA(Treponema pallidum hemagglutination assay)、TPLA(Treponema pallidum latex agglutination)
3)蛍光抗体検査・・FTA-abs(fluorescent treponemal antibody absorption test)
4)梅毒トレポネーマ検査・・蛍光顕微鏡による検査
2.梅毒検査を受ける時期
1)脂質抗原検査・・RPR検査 不安な行為から4週以降
2)梅毒トレポネーマ検査・・TPHA(Treponema pallidum hemagglutination assay)、TPLA(Treponema pallidum latex agglutination) 不安な行為から8週以降
3)蛍光抗体検査・・FTA-abs(fluorescent treponemal antibody absorption test) 不安な行為から6週以降
4)梅毒トレポネーマ検査・・蛍光顕微鏡による検査 不安な行為から3〜4週で第1期病変(下疳)が感染部位に発生する時期
※この検査は現在ではあまり実施されていません※
3.非特異反応または偽陽性反応(偽の陽性反応)
1)脂質抗原検査
RPR法検査はカルジオリピン-レシチンというリン脂質に対する抗体を検出しますが、このリン脂質は細胞質などの成分として生物界に広く分布していることからして 梅毒以外の疾患でもリン脂質に対する抗体が産生され、偽陽性反応(偽の陽性反応)となることがあります。
2)梅毒トレポネーマ検査
梅毒トレポネーマ検査では,梅毒に近縁のトレポネーマ感染があると偽陽性になりやすいことが知られていますが、事前に非病原性のトレポネーマで偽の抗体を吸収することからその出現頻度は低いとされています。
4.偽陰性反応(偽の陰性反応)
脂質抗原や梅毒トレポネーマ抗体が十分に血液内にできていない時に検査を受けると、梅毒トレポネーマに感染していたも陰性となってしまいます。
4.偽陰性反応(偽の陰性反応)
脂質抗原や梅毒トレポネーマ抗体が十分に血液内にできていない時に検査を受けると、梅毒トレポネーマに感染していたも陰性となってしまいます。
5.梅毒検査を受ける適切な時期
1)脂質抗原検査
不安な行為から4週以降。
2)梅毒トレポネーマ検査
不安な行為から5〜6週以降。
3)蛍光抗体検査
不安な行為から3週以降。
4)蛍光顕微鏡による梅毒トレポネーマ検査
不安な行為から3〜4週で第1期病変(下疳)が感染部位に発生する時期に検査しますが、病変がなければ検査を実施できません。
6.梅毒トレポネーマ感染をいち早く知りたいときには
IgM-FTA-abs検査を受けることです。
IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。
不安な行為から1週間で受ければ信頼できる結果が得られます。
【注意】通常のFTA-absはIgG型のTP抗体を検出する検査法ですから、IgM-FTA-abs検査とは全く別の検査です。
7.梅毒迅速抗体検査の落とし穴
最近梅毒迅速抗体検査を利用して、即日に検査結果がわかるとして保健所やクリニックで採用されていますが 梅毒迅速抗体検査はTP抗原を利用したイムノクロマト法ですから、梅毒の早期検査には適していません。
このことを理解できずに梅毒迅速抗体検査が多く採用されていますが、これは感染を見逃すことになります。
受ける時期は、不安な行為から5〜6週以降です。
8.梅毒トレポネーマに感染しTP抗体が一度陽性となると治療を行い完治してもTP抗体は陽性のままとなる
梅毒トレポネーマに感染するとおよそ4週間でカルジオリピンに対する抗体が陽性となり、6週間以降にはTP抗体が陽性となります。
梅毒トレポネーマに感染してTP抗体が体内に出来る前に治療を開始しないと、一旦TP抗体が体内に出来てしまうと治療によって 体内の梅毒トレポネーマが無くなってもTP抗体が消えることなく残るので、いつまでもTP検査が陽性になり続けます。
脂質抗原検査(RPR)は、治療によって完治すれば消失します。
9.梅毒が完治してもTP検査の陽性が続くことがある
抗生物質によって既に梅毒は完治してもTP抗体のみ陽性の人はよく経験します。
治療によってSTS検査は既に陰性となり梅毒は既に完治していても、TP抗体が陽性であることからこのTP抗体を陰性になるまで延々と治療を続けている事例も多く見られます。
これは誤った解釈でしかありません。
既に治療によって梅毒は完治しているにも関わらず、感染の名残のTP抗体が未だ梅毒トレポネーマが体内にいると誤った解釈をさせてしまうのです。
梅毒の治療の目的は、梅毒スピロヘータを死滅させることでTP抗体価を下げることではありません!!
10.梅毒検査の判定
1.RPR法4倍、TPHA陰性の場合は、偽陽性反応(BFP:生物学的偽陽性反応)の疑いが濃く、1ケ月後に再検査を行い、同じ結果であればSTSの偽陽性反応と判断します。
本当に感染していれば、1ケ月の時間経過により体内に梅毒抗体が産生されていることからSTSの定量値も高くなり、当然TPHAも陽性となっています。
2.RPR法16倍以上、TPHA陰性の場合は、1期梅毒と判断し治療を開始します。
この場合、FTA-absを実施して陽性を確認します。
3.RPR法16倍以上、TPHA640倍以上の場合は、2期梅毒と判断し治療を開始します。
4.RPR法陰性、TPHA640倍の場合は、無症候性梅毒あるいは過去に梅毒に感染したという梅毒既往ありと判断し治療せずに経過観察を行い、RPR法が陽性とならない場合は、過去の感染経歴として治療は行いません。
※TPHAは梅毒が完治した後も長期間或いは一生涯高い定量値のまま推移しますから、梅毒血清反応の解釈の不得手な医師により、 治療か必要と誤診されて不必要な治療を加えられるケースが多く見られます※
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記事執筆日
2025年01月05日。
written by 血液の鉄人
性感染症のための10章−3.梅毒検査の10章−
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