性感染症のための10章
−12.HIV-1とHIV-2の10章−
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以下本文
性感染症のための10章記事について
皆さん、こんにちは! 今回も性感染症について一緒に学んでいきましょう。
第12回目は『12.HIV-1とHIV-2の10章』です。
皆さんは「HIV」と聞いて、どんなウイルスを思い浮かべますか?多くの方がニュースなどで耳にする"HIV-1"だと思います。
これは世界中で流行している型ですねでも実は、HIVにはもう一つ、"HIV-2"という別の型が存在することをご存知でしょうか?
今回は、日本国内でのHIV-2感染の現状について、医学的な視点も交えながら分かりやすくお伝えします。
1.HIV-1とHIV-2、その見過ごされがちな違い
まず、HIV-1とHIV-2は「兄弟」のような関係ですが、いくつかの重要な違いがあります。
HIV-1は主にチンパンジー由来とされ、全世界でパンデミックを引き起こしていますが、 一方のHIV-2はスーティマンガベイというサルが起源と考えられており、主に西アフリカとその周辺地域(ヨーロッパやアジアの一部も含む)で流行しています。
2.病原性の違いと感染経路
「病原性」とは、HIVそのものがが病気を引き起こす力のことを指します。
HIV-2はHIV-1に比べて病原性が低いとされており、感染してもすぐに症状が出にくいのが特徴で、中には生涯にわたって無症状のままで過ごす人もいるほどです。
しかし、感染経路はHIV-1と同じで、主に性的接触、血液を介した感染、そして母子感染によって広がります。
3.日本におけるHIV-2感染者の現状
では、日本国内にはHIV-2の感染者がどのくらいいるのでしょうか?
これまでの疫学調査では、極めて少ないことが分かって報告されているのは、わずか10例にも満たないほどです。
4.日本で確認された最初のHIV-2感染例
日本で初めてHIV-2感染症例が確認されたのは2002年のことでこの時は、海外で感染した方が日本で診断されたケースでつまり、「輸入感染」だったわけです。
5.国内感染の可能性が浮上したケース
しかし、状況は少しずつ変化し2009年には、海外渡航歴のない日本人女性2名がHIV-2に感染していることが確認されたのです。
この事例は、日本国内での感染伝播が強く疑われる初めてのケースとして注目されました。
これらの女性は、HIV-2が流行している地域出身者との性交渉歴があることから性交渉による感染と認定されることになります。
この報告は、日本国内でもHIV-2の感染が起こりうることを示唆する重要なものでした。
6.新たな日本人感染例の報告と示唆されること
さらに最近では、妊娠初期のHIVスクリーニング検査でHIV-2感染が診断された日本人妊婦の症例報告も出てきています。
【参考資料】
『『妊娠初期のHIVスクリーニング検査からHIV-2感染症の診断に至った日本人妊婦: 日本エイズ学会誌25:21-27,2023』
これらの事例から、ごく少数ではありますが、日本国内にもHIV-2感染者が存在し、 今後も散発的に確認される可能性があることが示唆されています。
特に、流行地域との人の往来や性的接触が感染経路として考えられます。
7.HIV-2の「見つけにくさ」と検査体制
HIVの検査は通常、HIV-1を検出するものが主流で尚且つHIV-2は病原性が低く、感染者数も少ないため、見過ごされているケースが全くないとは言い切れません。
ただし、ご安心ください!現在は、献血時のスクリーニングや特定の症状がある場合の精密検査では、HIV-2も考慮して検査されるようになっています。
8.HIV-2感染の診断の難しさと特異的な検査
医学的な観点から見ると、HIV-2感染の診断にはいくつかの課題があります。
一般的なHIV抗体検査では、HIV-1とHIV-2の両方を検出できる**「HIV-1/2抗体検査」**が用いられます。
しかし、HIV-2の抗体反応は比較的弱いため、感染初期には検出されにくかったり、過去にはHIV-1と誤診されたケースも報告されていました。
そのため、HIV-2感染が強く疑われる場合には、より確実にHIV-2を特定できる**「HIV-2核酸増幅検査」**などの追加検査が必要になります。
9.HIV-2感染の病態進行と治療薬の選択
前述の通り、HIV-2はHIV-1に比べて病気の進行が非常に緩やかで長期間無症状のまま経過する人が多く、免疫力の低下も緩やかな傾向があります。
そのため、HIV-2感染と診断されてもすぐに治療が必要となるわけではなく、経過観察となるケースも少なくありません。
治療薬については、HIV-1の治療薬の多くはHIV-2にも効果が期待できますが、中には効果が薄い薬剤もあることから、HIV-2と診断された場合は、 専門医による適切な薬剤選択と治療計画が非常に重要となります。
日本の医療機関には、HIV-2に対応できる専門医がいますのでご安心ください。
また、HIV-2感染の妊婦の場合でも、HIV-1感染妊婦と同じように、生まれてくる赤ちゃんへの母子感染を予防するための周産期管理がしっかり行われます。
10.過度な心配は不要、しかし知識は持つべき!
日本国内におけるHIV-2感染者は非常に少なく、現時点で社会全体への大きな広がりは見られていませんので過度に心配する必要はありません。
しかし、海外との交流が活発な現代において、稀ながらも国内での感染伝播が確認されていることは事実です。
もしHIV-2の流行地域(西アフリカなど)への渡航歴があったり、 該当地域出身者との性交渉があったりして、HIV感染の可能性があると感じた場合は、躊躇せず医療機関を受診しましょう。
免責事項
このブログ記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありませんので、HIV感染症に関するご心配や疑問がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。
おまけ
医療機関で直接「HIV-2検出NAT検査」と指定してすぐに受けられるケースは稀です。
多くの場合、まずスクリーニング検査を受け、その結果や臨床状況によって、専門機関でのHIV-2 NAT検査が必要と判断される流れになりそして、その場合は自費診療となることを理解しておく必要があります。
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記事執筆日
2025年08月01日。
written by 血液の鉄人
性感染症のための10章− 12.HIV-1とHIV-2の10章−
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