9.梅毒トレポネーマ感染をいち早く知ることが出来るIgM-FTA-abs検査について
IgM-FTA-abs検査とは
梅毒トレポネーマの感染をいち早く知る検査に、IgM-FTA-abs(IgM-Fluorescent Treponemal Antibody-absorption)検査
があります。
よく知られているFTA-abs検査は、IgG型のTP抗体を検出する検査法ですが、IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。
IgM型のTP抗体とは
梅毒トレポネーマに感染した初期には、IgM抗体が先に出来て、その後IgG抗体が出来ます。
梅毒トレポネーマに感染すると初期感染後約1週間で梅毒トレポネーマに対するIgM抗体が産生され,約1ケ月でピークに達し、
その後IgM抗体は消失しIgG抗体が出現し,3ケ月頃にピークとなります。
このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で身体中にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ
信頼出来る結果が得られます。
従って梅毒トレポネーマに感染後1ケ月を経過して、IgM-FTA-abs検査を受けると血液中のIgM抗体が減少していることから
偽陰性反応を起こすことがあります。
IgM-FTA-abs検査の正しい受け方
このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で身体中にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ
信頼出来る結果が得られます。
そのことからして、早く感染の診断を下したい時に利用される検査法です。
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IgM-FTA-abs検査の検査原理
FTA-absで用いる螢光色素標識は、 ヒトγ-グロブリンの代りに,螢光色素標識ヒトIgM抗 体を用いて,
梅毒トレポネーマ感染初期に産生されるIgM抗体を検出する方法。
検査方法
1.スライドグラスに梅毒病原体であるトレポネーマ・パリーダム(Treponema pallidum:TP)の菌体成分を吸着させ、
それに患者血清を加えて37℃で一定時間反応させる。
2.洗浄液で患者血清を洗い流し、螢光色素標識ヒトIgM抗体をスライドグラスに滴下し、37℃で一定時間反応させる。
3.洗浄液で螢光色素標識ヒトIgM抗体を洗い流した後に蛍光顕微鏡でスライドグラス上の梅毒トレポネーマを観察する。
4.血清中に梅毒トレポネーマに対するIgM抗体が存在していれば、スライドグラス上の梅毒トレポネーマが蛍光を発する。
血清中に梅毒トレポネーマに対するIgM抗体が無ければ、スライドグラス上の梅毒トレポネーマは蛍光を発しない。
判定
梅毒トレポネーマ感染後早く陽性となる順番
1.IgM-FTA-abs検査・・・感染後1週間
2.FTA-abs検査・・・感染後3週間
3.STS検査(ガラス板法、RPR検査)・・・感染後4週間
4.TPHA検査・・・感染後5〜6週間
IgM-FTA-absを受ける際の注意点
IgM-TP抗体は梅毒トレポネーマに感染して1週間後に血液中に認められますが、IgM-TP抗体はおよそ1ケ月で消失、
その後IgG-TP抗体が血液中に出てきますから、IgM-FTA-abs検査は梅毒トレポネーマの感染初期に検査をしないと感染していても陰性となってしまいます。
従って感染初期の検査にしか利用できません。
IgM-FTA-absはどこで受けられるのか
よくIgM-FTA-absを受けるところがわからない、医師に検査を受けたいと言って医師がIgM-FTA-absの事を知らない、
この医療機関では検査をしていないなどと言われて受けることが出来ないという相談を受けますが、IgM-FTA-absは全国どこでも検査は受けられます。
自施設で検査をしていなくても全国どこでも検査専門の会社に検査を依頼して受けることは出来ます。
梅毒は皮膚科が専門診療科となりますから、皮膚科を受診すれば検査のことはよく皮膚科医は理解していますから問題なく受けることが出来ます。
一部加筆訂正
検査キットはこちら
written by 血液の鉄人