1986年
- 米国でAZTの臨床試験開始。
- パスツール研究所のL.MontagnierらがLAV-2を分離。
- 米国ハーバード大学のEssexらがHTLV-Wを分離。
- 日赤血液センターが試験的にEIA法(Enzyme Immunoassay)により大阪・東京の献血者13万人HIV抗体検査を実施し、3人のHIV抗体陽性者を検出。
上記の結果を受け、日赤血液センターでEIA法により、全国8都道府県を対象に3,146,940人のHIV抗体検査を実施し11人の陽性者を検出。- CDCが成人のエイズ症例を4グループに分ける新しい分類を提示。
- ウイルス分類国際委員会レトロウイルス小委員会がAIDSウイルスをHIV(Human immumodeficiency virus)と統一呼称することを提唱。
- CDCがHIV抗体陰性血液の輸血を受けた患者がHIV抗体陽性となった最初の症例を報告。
- LAV-2の遺伝子クローニングにより、HIV-2と命名される。
- 国際家族計画連盟の第4回世界総会(東京)において、"エイズ感染防止にはコンドームが最も有効な手段、各国で普及キャンペーンに乗り出そう"との決議。
- 「血液と血液製剤の安全性」会議(ジュネーブ)がWHO主催で開催され、エイズと血液及びHIV抗体検査に関する諸問題が論議。
第2回エイズ国際会議(パリ)において、ヨーロッパでの薬物使用者の注射器によるエイズ感染拡大が問題視される。- 神奈川県子供医療センターが1978〜85年までの凍結保存の血友病患者血清中にHIVを検出し、1980年にわが国にエイズ上陸と発表。
世界の累積患者数28,367人。1987年
- 総ての発見者がHIVの名称に同意し、今までのLAV,ARV,HTLV-Vという名称はHIVの一分離株としてのみ使用されるようになる。
- CDCが小児のHIV感染の定義と分類を提案。
- CDCが"エイズに特徴的な症状"に"HIVと関連のある症候"を加え、エイズの診断基準を改定。
- 各国でエイズ予防のためのコンドーム啓蒙キャンペーンが強化される。
- 神戸市在住の29歳の独身女性がわが国初の女性エイズ患者と認定され、異性間性交渉による初の感染例として日本中が騒然とする。この余波でエイズ検査目的で献血に殺到し、全国日赤血液センターが対応に苦慮。
- 高知県でエイズ感染者の主婦が出産、新生児の感染は免れる。
- 厚生省が院内採血による血液のHIV抗体検査実施を通知。
- FDA(米国食品医薬品局)がAZTの販売許可。
- CDCが病院の看護婦3人がエイズ患者の血液を浴び感染した初例を報告。
- NIHがエイズ研究者で初のHIV感染を報告。
- 第3回エイズ国際会議(ワシントン)。
- P.Duesbergが『癌原性や病原性としてのレトロウイルス 予測と真実』を発表。この論文を契機にエイズのHIV原因説に大きな論争と社会問題を引き起こす。
- 世界の累積患者数41,945人。
- 全国の日赤血液センターでEIA法によるHIV抗体検査を開始。
- 日本エイズ研究会(後に日本エイズ学会と改称)設立、京都で第1回学術総会開催。
- 日本輸血学会が『エイズ感染予防法案に対する要望書』及び『輸血領域のエイズに関する要望書』を関係機関に提出。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者数8,217,340人中11人。
1988年
- CDCが乾燥加熱血液凝固製剤で18人がエイズに感染と発表。
- 厚生省が輸血によるHIV感染者は7人で、5人はHIV抗体検査開始前の献血血液によると発表。
- WHOがエイズの診断基準の改定を発表。
- 日赤血液センターが電話による"エイズ自己申告"制度を開始。
- 第1回エイズ・サミット(ロンドン)が開催され、3年後には世界のエイズ患者100万人突破と報告。
- WHOが12月1日を「世界エイズデー」と制定する。
- 第4回エイズ国際会議(ストックホルム)が開催され、国際エイズ学会(International AIDS Societiy:IAS)が結成される。
- アジア・太平洋地域にエイズ広がる。
- 厚生省エイズサーベイランス委員会がCDC/WHOのエイズ診断基準を受けてエイズの診断基準を改定。
- 血友病患者の夫から妻が感染(わが国初の夫婦間感染)。
- 厚生省が母子感染予防のための医療現場向けガイドラインを発表。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者数7,974,147人中9人
1989年
- 「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行(2月)。
- FDAがddIを認可。
- 従来のHIV抗体検査キット(HIV-1M群)に反応しないHIV-1O群が分離される(中央西アフリカに多く見られる)。
- エイズ急増にWHO警告(エイズ患者20万人突破)、特に東南アジアで猛威。
- 米国でHIV抗体検査で長期間検出できない感染を"沈黙の感染(Silent infection)"と命名。
- 旧ソ連カルムイク自治共和国の首都エリスタの共和こく小児病院で注射器と授乳を通じて小児入院患者28人と付き添いの母親5人がHIVに感染。
- WHOが2000年までに世界のHIV感染者500〜1,000万人の3倍から5倍に増加し、エイズ患者は500万人以上に達する見込みと警告。
- 第5回エイズ国際会議(モントリオール)開催、コンドームの使用を強調。
- ソープランドの日本人従業員に初めてHIV感染者を認める。
- 日赤献血者におけるHIV応対陽性者数7,876,682人中13人。
1990年
- ルーマニアで注射針の再利用による子供に多数のエイズ感染。
- G.Corbittが1959年、イギリスマンチャスター市でエイズを疑わせる肺炎で死亡した男性の保存組織からHIVのDNAを検出し、1950年代ヨーロッパにエイズの存在を証明したと発表。
- 全米小児学会が1983年の母子感染以来の母子垂直感染率は80%以上と発表。
- 国内初の母子感染を確認。
- WHOが世界のエイズ患者800万人に達したと発表(男女別感染率:米国男75分の1・女700分の1、アフリカ男125分の1・女500分の1、南米男25分の1・女500分の1、東及び北アジア男4000分の1・女2000分の1、タイは急激に増加中)。
- 大阪大学微生物研究所の栗村らが、1983〜84年にかけ米国から輸入した濃縮血液製剤よりPCR法で初めてHIVを検出。
- 第6回エイズ国際会議(サンフランシスコ)。
- 厚生省エイズサーベラス委員会がエイズの女性感染者が若い世代に集中と発表。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者数7,743,475人中26人
1986年〜1990年までの年表│エイズの歴史|新 医学と切手の極意