エイズの歴史







1977年WHO(世界保健機関)は、長年人類を苦しめ続けてきた天然痘の撲滅宣言を行ったが、皮肉なことにその翌年にはエイズが突如として出現することになる。

エイズが歴史の表舞台に登場してから早20年が経過したが、その間多くの研究者の努力によりHIVの発見、HIV抗体検査法と治療薬の開発等々と驚くべき速さで 疾患としてのエイズは解明されたが、ワクチンと根治薬の開発は現時点ではそのめどが立っていない状態である。

また、エイズという病はいつ頃から存在していたのであろうか?

この謎のいまだ解明されていない。

多くの研究者たちは、古今東西の資料を分析し、エイズは古代エジプトの"パピルス文書"に認められる。モーゼの時代に猛威を奮っていた、あるいは16世紀に 流行した梅毒のなかに存在していた等の諸説を報告しているが、どれも的を得ていないものばかりである。

さらにHIVの起源も、

1.HIVは昔からヒトが保有し、ある一部の種族に存在していたものが最近になって流行した。

2.HIVはサルなどの他の種からヒトに伝搬されたとの2つの仮説があり、

 1.の仮説は、アフリカの孤立した未開部族にHIVは存在し、彼らは遺伝学的にHIVに適合していたが、何らかの理由によりHIVに遭遇したことのない他の部族に移行し、  そこで強毒性のウイルスに突然変異した。


 2.の仮説は、西アフリカに蔓延しているHIV-2は西アフリカ地域に生息するスーティーマンガベイの持つSIVSM由来でサルからヒトに感染した  と強く示唆される。

反面、チンパンジーの持つSIVCPZがHIV-1と90%類似していることから、HIV-1がSIVCPZ由来とされる所以であるが、 世界的規模で流行しているHIV-1の由来を説明するには無理がある。


どちらの仮説が正しいかは今後の研究により明らかにされるであろうが、ここで素朴な疑問が生じる。"なぜ今の時期になって発生したか"という疑問である。

この疑問を解明するために、HIVは核実験により突然変異した、遺伝子操作により作られたなどの諸説が浮上することになる。

とにもかくにもエイズは謎多き病である。

エイズはヒトの血液を介する疾患としての特殊性から、"薬害"ろいう大きな問題も含んでいるが、本年表では"薬害"の部分をあえて削除し、免疫血液学と性行為感染症としての疫学の立場からエイズの登場から現時点までの流れを中心にした代表的な事柄を選択し作成した。



健康切手 1995年キプロス
HIVに感染しうなだれる男女






新 医学と切手の極意