1991年
- WHOが今世紀末には世界のエイズ感染者は4,000万人に達すると発表。
- FDAがddIを認可。
- 第7回エイズ国際会議(フィレンツェ)。
- CDCはフロリダの歯科医から5人のエイズ感染を調査後、医師から患者への感染を防止するために、厳重な感染コントロールを呼びかけ、医療従事者で外科手術等のHIV感染の危険を伴う医療行為に携わる者はHIV抗体検査を受けることを指示し、もしも抗体陽性の場合は患者にそれを知らせない限り手術等に従事しないことを勧告。
- WHOがHIV感染者の80%が異性間交渉で感染と発表。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者数8,071,937人中29人。
- 厚生省エイズサーベイランス委員会が国内の新規届出感染者数が過去最高を記録したと発表、以降感染者が増加の一途をたどる。
- ハーバード大学国際エイズ・センターが200年までの世界のHIV感染者が1億30万人に達すると警告。
- オックスフォード大学とロンドン・インペリアルカレッジがアフリカのHIV感染者は80万人で、世界の感染者の3分の2を占め、今後10数年のうちにエイズによる死者は生まれてくる子供を上回るとのアフリカ全土について初の報告をNatureに掲載。
1992年
- 国内初の未成年女性のエイズ感染を確認。
- FDAがddCを認可。
- FDAがエイズ遺伝子治療を世界で初めて認可。
- FDAが米国内の献血血液のHIV-2抗体検査の実施を勧告。これを受けCDCが血液センター以外の医療機関におけるHIV-1、HIV-2抗体検査とその診断法についての勧告をまとめ発表。
- CDCがHIV感染者の母親から新生児への感染率は65%で短期間に発症する可能性が高いと報告。
- WHOがコンドームの普及がエイズ予防に劇的効果と発表。
- WHOが世界のエイズ患者が50万人を突破したと発表。
- 第8回エイズ国際会議(アムステルダム)において、HIV感染の認められないエイズが報告され、新種のHIVか、HIVが真のエイズの感染ウイルスかの議論。
- 世界エイズ政策連合が、エイズ流行は1981年の100倍となり、女性のHIV感染者は全世界で激増し成人感染者の40%に達し、されに今後3年間で380万人がエイズを発症する等の包括的エイズ問題の現状をまとめた報告書を発表。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者数7,710,693人中34人。
1993年
- WHOが世界のエイズ感染者1,400万人に達したと発表し、アジアでの急増に警鐘。
- CDCが臨床症状の有無にかかわらず、HIV抗体陽性及びCD4Tリンパ球が20/μl未満である患者をすべてエイズに含めるとする新しい定義を行う。
- 厚生省エイズサーベイランス委員会は1992年1年間でエイズ患者・感染者(血液凝固製剤による感染を除く)は、493人で1992年の2.1倍となり、累計数で1,046人と発表。
- 第9回エイズ国際会議(ベルリン)において、初期のHIV治療薬の有効性が論議。
- オーストラリアニューサウスウェールズ州保健局が1989年11月HIV感染者と知らずに嚢胞手術を行い、続いて4人の皮膚手術を行いこれをHIVに感染したと発表(担当医はエイズ対策ガイドラインに従って手術を実施、手術を介しての世界初のHIV感染事故)。
- わが国で初めてHIV-2を検出。
- 日赤中央血液センターでPA法(Particle Agglutination)によるHIV-2抗体検査を試験実施。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者数7,205,514人中35人。
1994年
- NIAID(米国立アレルギー・感染症研究所)HIVの母子感染をAZTの投与で3分の1も抑えられると発表。
- 米国保健福祉省と米国国立衛生研究所がHIVの第一発見者はパスツール研究所のL.Montagnierであることを正式に認める。
- 厚生省エイズサーベイランス委員会は1993年1年間でエイズ患者・感染者は364人で、日本人の患者・感染者は3年連続増加し、累計数で1,410人と発表。
- WHOが今世紀末までに世界のエイズ患者・感染者が3,000〜4,000万人に達し、特にアジア地域では現在の4倍の1,000万人に急増すると推計。
- HIVがグループMとグループOに分けられ、さらにグループMはA〜Fの6つの亜型とチンパンジーのSIVCPZGABに分類される。Aはウガンダ・ルワンダ、Bは米国・ヨーロッパ・タイ・ブラジル、Cはインド・ザンビア・セネガル・ソマリア、Dはウガンダ・タンザニア・ザイール・セネガル、Eはタイ、Fはブラジル等で多く分離され、地域特異性がある(Virology 205:247-253,1994)。
- FDAがddCを承認。
- FDAが唾液によるHIV抗体検査キット承認。
- 第10回エイズ国際会議(横浜)において、AZTの投与により母子感染が3分の1に減らせるとの報告。
- 全国の日赤血液センターにおいてHIV-2抗体検査開始。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者数6,610,484人中36人。
1995年
- WHOが世界のエイズ患者100万人突破と発表。
- 厚生省エイズサーベイランス委員会は1994年1年間でエイズ患者・感染者435人で日本人男性の感染者が急増し、累計数で1,845人と発表。
- SienceにHIV-2に感染したヒトはHIV-1の感染を防止するとの報告。
- 1990年G.Corbittが1959年にイギリスマンチェスター市で死亡した男性の組織から検出したHIVのDNAの増幅結果より得られた塩基配列は1990年代に流行したHIVと同じことから、変異率の極めて高いHIVの性質を考え、『HIVは1959年に存在したか』との疑問を投げかける論文がNatureに掲載。
- わが国でエイズ長期未発症者116人を確認。
- 日赤献血者におけるHIV抗体陽性者6,298,706人中46人。
- わが国のHIV感染妊婦は60数例でこのうち34件が出産し、9例の母子感染。
1991年〜1995年までの年表│エイズの歴史|新 医学と切手の極意