尖圭コンジロームとヒトパピローマウイルスとの関係について
ヒトパピローマウイルスとは
粘膜に好んで感染する粘膜型ヒトパピローマウイルス(以後HPVと呼ぶ)は、性的接触により男女の生殖器粘膜・外陰部に容易に感染します。
しかし、風呂での感染はありません、その理由としてはHPVは粘膜や皮膚の重層扁平上皮の基底層にある基底細胞を標的としているからです。
その為に重層扁平上皮に傷がつき基底層までHPVが侵入しないと感染できないからです。
即ち、性行為やオーラルセックスによって重層扁平上皮に傷がつき基底層までHPVが侵入して感染することになります。
ヒトパピローマウイルスが感染する場所とは
尖圭コンジロームを引き起こすヒトパピローマウイルスとは
HPV6とHPV11が感染すると尖圭コンジロームを発症します。
潜伏期間は
感染すると8〜11週間程度の潜伏期間後に発症します。
日本人の感染者は
日本人における感染者数は人口10万人に対して30人、年間4万人とされています。
HPV6とHPV11に感染して、尖圭コンジロームを発症した後治療もしくは自然治癒し病変が消失したとしても、HPV-DNAは体内に残り、不顕性感染の状態となり再び症状が発現します。
特にHPV6とHPV11感染者のうち尖圭コンジロームを発症している者は、25%に見たず残りは全く症状を呈さない感染者です。
ヒトパピローマウイルスの検査とは
HPV6とHPV11の遺伝子検査を受けて、HPVの存在が判明してもそれが原因で、将来、尖圭コンジローマが生じるかどうかも分りませんし、逆にHPVの存在がないと分っても、将来、尖圭コンジローマが生じないという保証はありません。
検査に行く時間がない、恥ずかしい、しかし感染不安があるときは
HPV4価ワクチンの『ガーダシル』とは
HPV4価ワクチンの『ガーダシル』は、子宮頸がんを引き起こすHPV16,HPV18の感染予防とともに、尖圭コンジロームを引き起こすHPV6,HPV11の感染予防も可能なワクチンです。
米国では既に、9〜26歳の男女にHPV4価ワクチンの『ガーダシル』の接種が推奨されています。
その為にHPV4価ワクチンの『ガーダシル』は、男女年齢を問わず尖圭コンジローム感染予防可能なワクチンと期待されています。
実際、HPV4価ワクチンの『ガーダシル』を集団接種した結果、尖圭コンジローム感染者が減少している国が多く見られています。
米国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ペルー、メキシコなどでは、4価ワクチンの尖圭コンジローマや肛門がんへの効果を認め、男性への接種を承認しているが、日本では承認されていません。
性交渉の経験があっても、HPVに感染していなければ有効性が期待できます、仮にHPV16型に感染していても、18型に感染していなければ効果が期待できますし、逆の場合も同様です。
すでに感染しているHPVを体内から排除することはできません。
HPV4価ワクチンの『ガーダシル』とは男性でも接種できるのか
日本においても、HPV4価ワクチンの『ガーダシル』を接種を希望するという男性は多いのですが、ガーダシルの販売元であるMSD社によれば、「日本では男性については承認をとっておらず今後も申請する予定はない」そうです。
海外では何の問題もなく接種できるワクチンが日本では、男性に摂取することは認められ無いことに抵抗感があります。
日本においても諸外国のように男性も接種が認められるべきでしょう。
尖圭コンジロームとHIVの関係
肛門周囲に感染した尖圭コンジローマの患者4人に1人がHIV陽性であるという統計があるようにHIVの合併率が高いことが知られています。
尖圭コンジロームの影響で粘膜や外性器、子宮内膜などに病変がある場合には、感染のない無い場合と比較して、HIVに感染しやすくなり、HIV感染の感染リスクは数倍〜百倍高まると言われています。
参考資料
written by 血液の鉄人